舌の先が痛い原因は?考えられる病気や治療法について

舌の先が痛いときは、必要な栄養素が不足しているか、ストレスがたまっていることが疑われます。「ぴりぴり」っときたら、食生活と仕事生活を見直してみてください。

しかし、かなりひどい痛みに変っていったら、それは「舌痛症」という恐い病気かもしれません。

舌の先の痛みの特徴

舌

ひとくちに「舌の先の痛み」といっても、さまざまな特徴があります。痛み方によって原因を推測できるかもしれません。

しみる痛み

最も単純で、最も心配いらないのは、切り傷のような痛みです。痛みの表現としては「しみるような」とか「チクピリ」となります。これは歯や義歯の「鋭利な部分」に舌の先が触れて切ってしまったと考えられます。

またレアケースですが、食べ物の中に金属片が入っていて、それに触れても舌を傷つけることがあります。

奥の痛み

舌の先は5ミリ程度の厚みがあります。その表面ではなくて、内部からくる痛みの場合、金属アレルギーの可能性があります。その他の痛みと区別することは難しいのですが、金属アレルギーによる痛みの場合、舌の先だけのとどまらない特徴があります。「昨日まで舌の先だけだったのに、今日は舌の中央も痛い」と感じたら、アレルギー反応が疑われます。

治療は、花粉症などのアレルギーと同じような内容になります。病院では、まずは原因となる金属を調べます。

ぴりぴりした痛み

舌の先だけが小さくぴりぴり痛んでいて、でも広がらず、しかし1日中ずっとこの痛みが気になる場合、必要な栄養素が足りていないのかもしれません。

ビタミンやミネラルが足りないと、舌の先に痛みが走るのです。

カーッとした痛み【要注意!】

舌の先の痛みが、ぴりぴりにとどまらず、燃えるようにカーッという痛みにまで進むようだと「舌痛症(ぜっつうしょう)」が疑われます。

舌痛症の症状の特徴は、痛みが強いことです。「カーッと燃えるような」痛みは、仕事が手につかないまでに悪化します。そのほか、ズキズキとうずく痛みのこともあります。痛む場所は、舌の先を「頂点」にして、左右に広がります。それが、歯肉や唇にまで伝わることもあります。

歯肉の痛みでは、奥歯の歯肉より前歯の歯肉の方が痛みは強いです。唇では、下唇の方が、上唇より強く痛みます。

痛みは波があり、引いているときは無痛になるのも、舌痛症の特徴といえます。

痛み以外では、口の中の乾き、それに伴う味覚障害が起きることがあります。口の乾きは炎症を引き起こすことがあります。こうなると、食事中に、食材が触れた部分に痛みが走ります。

ただ炎症まで進まない状態だと、食べているときは痛みが出ないことが多いのです。それで舌痛症の患者さんはガムを噛むことが多いそうです。

かなり複雑な痛み方をしますが、特徴がはっきりしています。

舌痛症以外の痛みの原因

舌の先の痛みの原因は、「舌痛症の原因」と「舌痛症以外の舌の先の痛みの原因」の2つに分けて考えた方が理解しやすいでしょう。

まずは「舌痛症以外」の原因をみてみましょう。ここでのキーワードは「不足」です。

鉄分の不足

鉄

貧血の「隠れた原因」になっているのが、鉄分の不足です。鉄分自体が血液の中に含まれています。血液中の鉄分は「ヘモグロビン」の中に含まれます。しかし「鉄分が少ない=血液量が少ない」というわけではないのです。

ヘモグロビンは全身に酸素を運んだり、全身の細胞を活性化させる力があります。それで鉄分の摂取不足によってヘモグロビンが減ると、体に悪影響を及ぼすのです。

貧血になると、頭痛やめまい、動悸、息切れといったさまざまな症状が起きます。そして舌の先が痛むこともあるのです。舌だけでなく、口内炎や喉の痛み、飲み込みがうまくできなくなるといった「口から喉までの全体」に違和感が走ります。

亜鉛の不足

成人に必要な亜鉛の量は、わずか2グラムです。たったこれだけの量なのですが、これが減ると体調不良を引き起こします。亜鉛は細胞内に含まれていて、DNAやタンパク質の合成に関与しています。また体内に侵入した異物を攻撃する免疫機能にも、亜鉛は欠かせない存在です。

つまり、体内の亜鉛が減る「亜鉛欠乏症」に陥ると、免疫が落ちます。その結果まず現れる症状が「表面の異変」です。皮膚が荒れたり脱毛したり、爪が変色します。そして「舌の表面」にも異常が起きて、それが舌の先の痛みを引き起こします。

ビタミンB1の不足

ビタミンB1が不足すると、神経が侵されます。脚気の原因は、ビタミンB1不足です。脚気まで悪化しなくても、神経が傷つくと体のあらゆる部位で痛みが出てきます。舌の先の痛みもそのうちのひとつです。

しかし「舌の先が痛い=ビタミンB1不足」と特定できることはまれでしょう。またビタミンB1が不足している人は、ほかのビタミンやミネラルも不足するような食生活を送っていることが多いです。

ここに紹介した以外のビタミンやミネラルが不足しても、舌の先の痛みが起きることがあります。つまり「舌の先の痛み」は「食生活を改善しよう」というシグナルなのです。

舌痛症の原因

次に「かなり深刻な舌の先の痛み」を引き起こす「舌痛症(ぜっつうしょう)」の原因をみてみましょう。結果から申し上げると、舌痛症の原因は不明です。

「こうしたこと」があると「舌痛症が起きる」ということは分かっています。しかし、その「こうしたこと」があると「なぜ」舌が激しく痛むのか、その「なぜ」が分かっていないのです。

心の病

こころ

舌痛症を発症する人は「心身症」にかかっている率が高いことが分かっています。心身症は、心や社会環境が原因となって、体調が崩れる病気です。うつ病や神経症ではないときに心身症と診断されることがあります。

強いストレスが長期間にわたってのしかかり、体のあらゆる器官が本来の動きをしなくなるのが心身症です。

高血圧症、狭心症、気管支喘息、胃潰瘍、大腸炎、過敏性腸症候群、肥満症、糖尿病、片頭痛、自律神経失調症、インポテンツなどなど、ありとあらゆる病気が心身症によって引き起こされます。

舌痛症もそのひとつというわけです。

痛みの目印

舌痛症は舌に強烈な痛みを引き起こすのですが、痛みに苦しんでいるときでも、舌の表面に炎症や潰瘍を確認することはできません。

少し意地悪な見方をすると、原因が分からないときに「ストレスを原因とする心身症」といわれるともいえます。こうした「診断」は他にもあって、例えば病名の前に「本態性」と付くことがあるのですが、これは「原因不明の」という意味です。「心身症による高血圧症」も、正確には「本態性高血圧症」というのです。

これと同様に、舌の先が激しく痛いのに、舌の表面に炎症や潰瘍といった「痛みの目印」が見つからないとき、舌痛症を疑うことになります。

「2次性舌痛症」とは

舌の先が痛くなる原因が他に考えられないときの「舌痛症」を「1次性舌痛症」といいます。「2次性舌痛症」は、ある病気が背景となって舌痛症を起こすことをいいます。

糖尿病やシェーグレン症候群、脳血管障害を発症した人が舌の痛みを訴えることがあります。また、口の中を不潔にしたり、舌を噛んだりする習慣の人が舌痛症を起こすことがあります。これらはすべて、「2次性舌痛症」といいます。

舌痛症患者の苦難

「舌が痛い」と訴えているのに、舌を調べても症状を引き起こしている「目印」が見付からない――こうした1次性舌痛症の特徴は、患者をさらに苦しめることになります。

舌痛症の治療

クビ長い

舌痛症の治療方法について紹介します。

歯医者ではなく

舌痛症の症状が起きると、患者はまず歯科か口腔外科に行くのが一般的です。しかし口の中を見ても、炎症も潰瘍もないのです。歯科医にとって心身症は専門外ですので、「心身症による舌痛症かも」とはなかなか思いつきません。それで「原因不明」となることが多いのです。

痛み続けている患者は、次に内科医にかかるかもしれません。このように短期間に複数人の医者にかかることを、ドクターショッピングといいます。

医者は、目の前の患者がドクターショッピングをしていることを知ると、快く思わないでしょう。しかし舌痛症の患者は、好きで医者を変えているわけではないのです。

心療内科へ

舌痛症を診てくれるのは、心療内科や精神科の医師です。もし「舌の先が猛烈に痛い」状態で、口腔外科でも原因を突き止められなかったら、「心身症かも」「舌痛症かも」と考えてみてください。

心療内科での治療は、薬物療法になります。「うつ病」でなくても「抗うつ剤」が使われることがあります。改善率はかなり高いのです。また「抗不安薬」が処方されることもあります。

また胃潰瘍の薬を使う場合もあります。抗胃潰瘍薬には血流を改善する効果があって、これが舌の血流もよくするので、痛みを軽減するのです。

また舌痛症の患者には「自分はうつ病ではない」という気持ちがありますので、こうした「強めの薬」に抵抗がある場合、医師によっては漢方薬を処方することがあります。「抗うつ薬」などよりは効果が現れるまでの時間はかかりますが、患者の心理的な不安は軽減されるでしょう。

まとめ

舌の先の痛みは、ささいなことが原因であることがほとんどです。しかしその中に、たまに舌痛症という重い病気が隠れているのです。

痛みの種類は、診断の大きなヒントです。舌痛症のような診断が難しい病気は、特に痛みの情報が重要です。心療内科の医師に、詳しい症状を伝えることが、治療の第一歩です。

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