最近ニュースで聞くことも多くなってきているDV(ドメスティックバイオレンス)。婚姻関係にある夫婦や未婚のカップル(男女カップルに限らず同姓カップルも)の間に起こる単なる痴話げんかの延長のような認識でいませんか?
DV(ドメスティックバイオレンス)は立派な犯罪です。主に暴力行為が注目されていますが、様々な形で広い意味のDV(ドメスティックバイオレンス)が存在します。
ここではDV(ドメスティックバイオレンス)の特徴を具体的にまとめていきたいと思います。もしかしたらアナタの身の回りで起こっていることもDV(ドメスティックバイオレンス)かもしれませんよ。
DV(ドメスティックバイオレンス)とは
婚姻関係の夫婦や未婚のカップル(同姓カップルも)など、パートナーとして成り立つ2人の間でどちらかに一方的にふるわれる暴力のことです。
現在はその意味も広くとられ、直接的な身体的暴力以外にも精神的、経済的、性的、社会的な暴力も含めてDV(ドメスティックバイオレンス)といわれています。
またその暴力行為は一時に収まらず常態化し、加害者だけでなく被害者である本人もその深刻の程度が分からなくなってしまう恐ろしい犯罪です。
精神的暴力
突然大声で怒鳴り散らし脅すようなことを言う。被害者に対し徹底的に無視をする。被害者をののしる。など被害者に精神的苦痛を与えるようなことをすることです。
身体的暴力
文字通り身体的に傷をつけるような暴力や傷まではいかなくても暴力をふるうことです。
殴ったり、蹴ったり、物を投げたりするほか、平手打ちやひどいときは首を絞めたりすることもあります。このような暴力行為の多くが殺人につながるのです。
経済的暴力
外での労働を禁じたり、生活のためのお金を渡さない、または取り上げるといった被害者の金銭的な自由を奪うようなことをいいます。
性的暴力
望まないセックスの強要や避妊の拒否、むりやり性的嫌がらせをするようなことをいいます。
以前は女性が被害者になることが大多数でしたが、男女のカップルのあり方の変化から現在は男性被害者も増えてきているようです。
社会的暴力
被害者の社会的立場を無視した強要です。たとえば自分以外の親類や友人とのかかわりを禁止することや、被害者の人間関係やそれに伴う行動を禁止または監視するなどです。
現在の社会的状況
このようなDV(ドメスティックバイオレンス)の現状に対して日本では内閣府に男女共同参画局推進課暴力対策推進室という部署を配置し、女性に対する暴力に関する調査研究が行われています。
この調査研究では男女間における暴力に関する調査報告がでています。最新27年度のものをみてみるとDV(ドメスティックバイオレンス)の現状が見えてきます。
配偶者がいる場合
およそ女性の4人に1人は配偶者である夫や妻から被害を受けたことがあり、また10人に1人は1回に限らず何度も被害にあっているということです。
また被害を受けた女性の約4割と男性の約8割が誰にも相談していないということです。
さらに被害を受けた女性の約6割の人が別れたいと思っているが実際に別れることが出来ているのはそのうちの1割程度であること。
被害を受けたことのある家庭では、約3割の家庭の子供に同じような被害が見られるということの報告がされています。
さらに一番驚くべきことは、被害にあった女性の約9人に1人が命の危険を感じながらもどうすることも出来ずにいる状況であるということです。
未婚カップルの場合
未婚カップルの場合も女性の約5人に1人がパートナーから暴力を受けたことがあり、さらにそのパートナーと同居の経験がある場合、女性の約3人に1人は暴力を受けたことがあるとのことです。
また既婚カップルと同様に、被害にあった女性の約4割が誰にも相談していない状況です。既婚カップルと少し違うのは、婚姻関係がない分被害にあった女性の約6割と男性の約4割の人が別れることが出来ているということです。ただ被害者すべてが別れることが出来ないのは、もしかしたら思いなおしてくれるかもしれないという甘い期待があるからです。
もちろん、その多くがそんな思いとは裏腹に常態化したDV(ドメスティックバイオレンス)へと進行してしまいます。その結果、被害にあった女性の約4人に1人は命の危険を感じていると答えています。
性的被害状況(女性限定)
望まない性交や性的な暴力を強いられることは、身体的に苦痛であることのほかに精神的に受けるダメージも大きいのが特徴です。また心的苦痛からその被害を相談したり、警察に訴えることが出来ずに泣き寝入りしたりすることで、その被害の大きさもきちんと把握できていないのが現状です。
報告書では、女性の約15人に1人は望まない性交を強いられた経験をもち、その女性の約7割が誰にも相談できていないと回答しています。
またその加害者に関しては交際相手や元交際相手、配偶者や元配偶者なども多く身内の問題として片付けられている可能性もあります。
DVの原因は?
多くのDV(ドメスティックバイオレンス)加害者である人の原因として、その精神的な構造や精神的疾患が取り上げられています。
また加害者だけでなく、被害者自身にも被害者になりやすい精神的構造に特徴があるとされ、双方の治療に取り組まないと形を変えまた同じ過ちを繰り返す危険性があります。
DV加害者になる人の主な特徴と傾向
DV(ドメスティックバイオレンス)加害者の人格的原因としてよく挙げられるのが、
①嫉妬深い
②男尊女卑など性による差別感を持つ
③女性に対して性対象物としての認識が強い
④被害者に関係する人・物事に対しての異常なまでの批判
⑤自己責任感がない
⑥人間に限らず、自分より弱いものに対してしか強く出られない
などです。
これらの傾向のある人すべてにDV加害者の危険性があるとはいえないのですが、多くの加害者が共通点を持つということは認識しておきましょう。また稀にこのような特徴がADHDなどの発達障害から起こる場合もあります。
さらにDV(ドメスティックバイオレンス)を時系列を追ってみてみると、まず恫喝や大声で罵るなどの行為が最初に現れます。次にそれがエスカレートして実際にものを投げる、蹴る殴るなどの暴力行為に発展します。その後に被害者の状態を目の当たりにし我に返ると、反省したり急に優しくなったり、2度としないなどの約束をするようになります。
この最後の状態をみた被害者は今だけなんだという気持ちになり、許してしまうのです。しかし状況は変わらず、この繰り返しを行うことで常態化してしまうのです。
DV被害者になる人の主な特徴と傾向
ではDV(ドメスティックバイオレンス)の被害者についてはどのような傾向があるのでしょうか。
実は被害者にも共通した3つの傾向があります。
①善悪がはっきりしている。または正義感が強い。このような性質を持つ人は、他人の非を自分の正義感の下に批判しやすい傾向があります。結果加害者を刺激してしまうのです。
②罪悪感が強い。加害者に対しそのような行為に出たのは自分のせいであると思い込む人が多く、そのため異常な暴力やその他の行動も受け入れなければいけないと思い込むようになります。
③情に厚い。一時の反省や謝罪の言葉を信じ、情からDV(ドメスティックバイオレンス)の行為を許してしまう。
もちろん加害者と同様に、これらの特徴があるからといってすぐに被害者になるわけではありませんが、多くの被害者の共通点であることを認識しておきましょう。
DV被害にあわないために
では、私たちがDV(ドメスティックバイオレンス)の被害者や加害者にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?
まずは、交際前にお互い相手の人格をよく見ることです。どのような性質を持っているのか、どのようなことで怒りの刺激を受けるのか、生い立ちなども原因になる可能性もあります。育った状況や今までの交際相手などについても聞けるのであれば、参考までに聞いておいてもよいでしょう。
そして一番大切なのは、自分自身が本当の意味で自分のことを大切にし、また相手も大切にしてくれているかどうかを見極めることです。愛や情などの言葉に惑わされて自分に精神的・身体的苦痛を強いるなんて、本当の意味での大切ではないですよね。
そして心ならずも被害にあってしまったら、すぐに信頼の置ける人に相談するか、DV(ドメスティックバイオレンス)担当の窓口に相談してください。一時の恥ずかしさで命を救われるかもしれませんよ。
まとめ
いかがでしたか?DV(ドメスティックバイオレンス)は表に表れにくい犯罪でもあるのでなかなかすぐに解決とはいきませんが、その特徴や傾向を正しく知ることで未然に防ぐことは可能です。また日頃から周囲に気を配り危険な兆候があったら対処方法を確認しておくことも大切なのかもしれません。
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