セレスタミンは、かゆみなどを抑制する抗ヒスタミン剤と、合成副腎ホルモン剤(ステロイド剤)の2種類の薬効成分が配合された薬です。私たちが使用する医薬品の中でも歴史が深く、1966年から販売されており、非常に優れた効き目を持っています。
しかし、効き目が強いため、長期服用あるいは大量服用すると、重い副作用が出る場合もあります。そのため、症状を一時的に抑える頓服薬のように処方されることが多いと言われています。
どのような薬でも、副作用が起こる可能性があるので、薬を服用する際には、事前にどのような薬なのかを、しっかりと把握しておく必要があります。
そこで、ここでは、セレスタミンの効能や、服用上の注意点などを詳しくご紹介いたします。
セレスタミンについて
セレスタミンは、炎症やアレルギー反応を抑制する薬です。主に、関節炎や皮膚炎の場合に処方されることが多く、小児も服用できるので、正しく服用すれば、非常に優れた薬であると言えるでしょう。
また、錠剤タイプとシロップタイプの2種類がありますが、薬は小腸で吸収されるため、それほど効果に違いはなく、お年寄りや小児などの嚥下能力の低い人には、シロップタイプを処方する傾向があるようです。
成分
【セレスタミン配合錠】1錠中
<有効成分>ベタメタゾン0.25mg/d-クロルフェニラミンマレイン酸塩2mg
<添加物>ゼラチン/トウモロコシデンプン/乳糖水和物/ステアリン酸マグネシウム
【セレスタミン配合シロップ】1ml中
<有効成分>ベタメタゾン0.05mg/d-クロルフェニラミンマレイン酸塩0.4mg
<添加物>プロピレングリコール/白糖/安息香酸ナトリウム/クエン酸水和物/塩化ナトリウム/D-ソルビトール液/香料/黄色5号
薬効分類名
副腎皮質ホルモン・抗ヒスタミン配合剤
販売元
高田製薬株式会社
薬理
以下の2種類の有効成分が合わせて作用するため、即効性に優れています。
【ベタメタゾン】
炎症を起こしている組織のグルココルチコイド受容体に作用して、細胞内の情報伝達をし、アレルギー反応を誘発するケミカルメディエーターや、サイトカインの過剰な生産を抑制し、炎症やアレルギー反応を抑えます。
【d-クロルフェニラミンマレイン酸塩】
平滑筋や血管内皮細胞、中枢神経系に存在する、ヒスタミンとの親和性が高い「H1受容体」に作用し、ヒスタミンとの結合を阻害するため、アレルギー反応の発生を抑制します。
効能
慢性のものを除く蕁麻疹/湿疹や皮膚炎の急激な悪化/薬疹/アレルギー性鼻炎(花粉症など)/関節リウマチ
保管方法
- 乳幼児の手の届かないところで保管してください。
- 直射日光、高温多湿の環境を避け、室温で保管してください。シロップタイプのものは、しっかりと蓋を閉めて保管してください。
- 薬が残った場合は、そのまま保管せず、医師または薬剤師に相談し、破棄してください。
用法・用量
錠剤タイプと、シロップタイプ、それぞれの用法・用量は以下の通りです。
【セレスタミン配合錠の場合】
1回分1~2錠を、1~4回に分けて経口投与
【セレスタミン配合シロップの場合】
1回分5~10mlを、1~4回に分けて経口投与
小児の場合は1回5mlを、1~4回に分けて経口投与
※上記の用量は、小児の服用例を除き、成人が服用する場合の用量です。
※年齢や症状によって、用量が増減します。医師の指示に従って、用法・用量を守りましょう。
※セレスタミンは長期服用する薬ではありません。症状改善後は、漫然として使用しないでください。
※飲み忘れてしまった場合は、忘れた分をできるだけ早めに服用してください。次に服用するまでの時間差が短い場合は、1回分を飛ばしてください。副作用を引き起こす恐れがあるので、一度に2回分を服用するのは避けてください。
※誤って、医師から指示された量より、多く飲んでしまった場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。
服用する際の注意点
安全に薬を服用し、炎症やアレルギー疾患を治療するために、以下の注意点に気を付けましょう。また、そのほかにも、気になる点がある場合には、自己判断を避け、医師または薬剤師に相談してください。
服用する前に
- セレスタミン配合錠、およびセレスタミン配合シロップの安全性や有効性、副作用について、医師から十分に説明を受け、どのような薬かを把握したうえで、服用してください。
- 他の治療法で十分に回復できる見込みがある場合には、服用しないでください。
- 薬の過敏症傾向にある人は、服用を避けてください。
- 緑内障、または前立腺肥大当下部尿路の閉塞性疾患がある人は、服用しないでください。
- 次にあげる疾患がある場合は、服用しないことが原則ですが、やむを得ず服用する場合には、十分に注意し、医師の指示のもと、慎重に服用しましょう。 ▼ ▼ ▼ 全身の真菌症/効果のある抗菌剤が存在しない細菌の感染症/結核性疾患/消化性潰瘍/精神病/単純疱疹性角膜炎/後嚢白内障/電解質異常疾患/血栓症/日の浅い内臓手術創がある人/急性心筋梗塞を起こしたことがある人/糖尿病/骨粗鬆症/腎不全/甲状腺機能障害/肝硬変・脂肪肝/脂肪塞栓症/重症筋無力症
- 眠気が出る場合がありますので、セレスタミンを服用中は、自動車や危険を伴う機械等の運転や作業、激しい運動は避けてください。
- セレスタミンを服用する前には、必ず麻疹および水痘の予防接種の有無について医師に報告してください。
- 服用期間中はできるだけストレスから避けるようにしてください。
- 高齢者に服用する場合には、十分に注意し、異常が見られた場合は、直ちに医師または薬剤師に相談してください。
- 妊娠中、および妊娠している可能性のある人は、事前に医師に報告してください。
- 授乳中の場合、母乳に影響を及ぼす可能性があるので、服用は避けてください。やむを得ず服用する場合には、服用期間中、母乳を与えるのは中断してください。
- 小児が服用する際には、十分に経過観察を行ってください。
併用に注意する薬
セレスタミンと、以下の薬の併用には十分に注意してください。また、ここにあげた薬以外でも、ほかに服用している薬がある場合には、必ず事前に医師に報告してください。重大な副作用を引き起こす恐れがあります。
<併用注意の薬>
中枢神経抑制剤/アルコール/MAO阻害剤/抗コリン作用を有する薬/ドロキシドバ/ノルアドレナリン/フェノバルビタール(バルビツール酸誘導体)/フェニトイン/リファンピシン/エフェドリン/サリチル酸誘導体(アスピリン、アスピリンダイアルミネート、サザピリン)/ワルファリンカリウム(抗凝血剤)/経口糖尿病用剤(アセトヘキサミド、インスリン製剤)/カリウム保持性のものを除く利尿剤(トリクロルメチアジド、アセタゾラミド、フロセミド)/ソマトロピン/シクロスポリン/非脱分極性筋弛緩剤/リトドリン塩酸塩
服用するにあたって
- 錠剤タイプを服用する場合、多めの水で服用すると、胃腸機能への負担を軽減できます。少なくともコップ1杯以上の水で服用し、空腹時の服用は避けてください。
- セレスタミンに含まれるベタメタゾンは、36時間から54時間が血中濃度の半減期とされているため、連用すると、作用が重複し、副作用の原因となる場合があるので、注意してください。
- 服用中の飲酒は避けてください。
副作用について
どのような薬においても、副作用には注意が必要です。服用前に必ず確認し、副作用が出た場合には、自己判断は避け、必ず医師または薬剤師に相談してください。
一般的な副作用
【過敏症】:発疹、光線過敏症 ※このような症状が出た場合には、投与を中止する必要があるため、必ず医師に確認してください。
【精神神経系】:神経過敏、焦燥感、多幸症、複視、頭痛、めまい、耳鳴り、情緒不安、神経炎、不眠、眠気
【消化器】:喉が渇く、胸やけ、腹部膨満感、食欲不振、腹痛、吐き気・嘔吐、食欲亢進、下痢
【泌尿器】:頻尿、排尿困難、尿閉、ステロイド腎症、
【循環器】:低血圧、心悸亢進、頻脈、期外収縮 ※このような症状が出た場合には、減量または休薬の必要があるため、必ず医師に確認してください。
【呼吸器】:鼻や気道の乾燥、痰、鼻が詰まる
【血液】:溶血性貧血、白血球増加
【肝臓】:肝機能障害(AST<GOT>の上昇、ALT<GPT>の上昇、Al-Pの上昇)
【内分泌】:月経異常、糖尿
【筋・骨格】:筋肉痛、関節痛
【体液・電解質】:むくみ、低カリウム性アルカローシス、血圧上昇 ※このような症状が出た場合には、減量または休薬の必要があるため、必ず医師に確認してください。
【眼】網膜障害、眼球突出
【皮膚】:多毛、脱毛、色素沈着、皮膚溢血、紫斑、発汗異常、顔面紅斑、傷の治りが遅くなる
【その他】:発熱、疲労感、胸痛
重度の副作用
以下のような症状が出た場合は、<>内の病気の初期症状の可能性がありますので、すぐに病院で受診し、適切な処置を行ってください。自己判断で断薬すると、血圧低下などを伴うショック症状を引き起こす可能性がありますので、十分に注意してください。
<B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎>:黄疸、全身の倦怠感、食欲不振、尿の色が濃くなる
<感染症>:発熱、喉の痛み、咳、痰、呼吸困難、嘔吐、下痢、皮膚のヒリつき、水ぶくれ、赤みを伴う発疹
<副腎皮質機能低下、急性腎不全>:体重減少、脱水、吐き気、筋肉痛、過剰な色素沈着、寒さに弱い、むくみ、尿の色が濃い、頻脈、乏尿、無尿
<骨粗鬆症>:背中や手足の痛み、骨折
<胃潰瘍>:胃痛、吐血、血便
<精神異常>:うつ、痙攣、錯乱
<血栓症>:むくみ、腫れ、皮膚の赤み・かゆみ・変色、呼吸困難、失神
まとめ
いかがでしたでしょうか。セレスタミンは、とても効果の高い薬ですが、ここにあげた以外にも、副作用が出やすい薬であることも事実です。薬を服用する際には、正しく服用し、用法・用量を守りましょう。
また、体調や体質によっても薬の効果は異なりますので、服用前の自身の体調について、少しでも気になることがある場合には、医師に相談してください。