ワセリンは、どの年代の人でも安心して使うことができる、副作用のない保湿剤だと言われますが、本当はどうなのでしょうか？
子どもに塗るものですから、健康を害するようなものは、避けたいですよね？ここでは、ワセリンについての正しい知識と、効果的な使い方を紹介したいと思います。
◆ワセリンって何？
よく考えてみると、小さな頃から見聞きしているワセリンですが、一体、何なのかよく知らない、という人が多いようです。そこで、まず初めに、ワセリンとは何なのかご紹介します。
ワセリンとは、皮膚を保護する保湿剤で、原料は、原油です。
「え～！ガソリンや灯油の原料を、自分の顔や赤ん坊に塗りたくっていたなんて……。それって大丈夫なの？」と思ったあなた。心配いりません。
原油は、元をたどれば動物や植物などが地中深くに堆積したものであり、自然が何億年もかけて作った天然由来の製品であり、しかもワセリンは、それを高い純度になるところまで精製したものです。
化粧水や美容液は、肌の奥まで浸透して栄養を補給しますが、一方で、肌の深部に影響をおよぼすため、含まれる成分によっては深刻なダメージを肌に与えることがあります。
その点、ワセリンは肌の表面を覆って膜を作り保湿するタイプの保湿剤のため、ホコリや化学物質などの外からの刺激から肌を守り、その人の持つ自然治癒力を助けます。肌に心配がある方でも安心して使用できます。
○ハリウッド女優も愛用するワセリン
ワセリンは、その保湿効果の素晴らしさから、スーパーモデルやハリウッド女優なども愛用していると言われます。
2011年、「歴史上で最もセクシーな女性１００人」で１位に輝いたアメリカの女優で、ブラッド・ピットの元奥さん、ジェニファー・アニストンさんも、「目元に毎日、ワセリンを塗っている」とのこと。
輝く美しさを放つその表情から、さぞかし、高価な化粧品を使っているのだろうと思いきや、意外にもワセリンの愛用者だというのです。
一見あまり価値のなさそうな、どこにでもあるワセリンには、ハリウッド女優も手放せないほどの実力があるという証でしょう。
◆ワセリンの効果的な使い方は？
ワセリンは、いろんな使い方ができるため、家庭に一つ置いておくと重宝します。中でも、効果的な使用方法をいくつか紹介します。
○肌の乾燥予防に
水仕事の多い主婦や、飲食店に勤めている人など、手荒れで悩む人は少なくないと思います。そんな人にオススメなのがワセリンです。
ワセリンは、手や指先に塗ることで保湿効果があります。手の表面をワセリンの膜が覆い、乾燥肌を防いでくれるので、手荒れに効果を発揮してくれます。使用する時には、ベトつきを避けるために少量を薄くのばして塗るようにしましょう。
ワセリン自体には、肌に浸透して潤いを与える効果はありませんので、入浴後や手を軽く洗ったあとなど、潤いを逃さない目的で使うと効果が大きいと思います。
また、手だけでなく、全身に用いても良いでしょう、
○リップクリームの代わりに
ワセリンは舐めても体に害はありませんので、唇にも使うことができます。
市販のリップクリームだと、香料が含まれていて匂いが気になるという人もありますが、ワセリンは無臭ですので、そんな人にもおすすめです。
また、ハチミツとワセリンを1:1の割合で混ぜて唇の上に薄く伸ばし、ラップで5～10分覆えば、唇パックとしても使用することができます。
ハチミツには、肌荒れを整える働きのあるビタミンB群やナイアシンが含まれており、刺激の少ないワセリンと合わせれば効果的です。
○スキンケア成分の効果をアップさせる
入浴してからは、15分以内に肌の保湿ケアをすることが大事だと言われています。それは、入浴によって肌に含まれている保湿成分が流れていってしまうからです。そこで、入浴後すぐに、化粧水や乳液を塗って保湿ケアをします。
更にその効果を高めるには、その上からワセリンを塗ると良いです。肌に浸透した成分が蒸発するのを防ぎ、朝まで潤いが保たれます。
○靴擦れ防止に
結婚式などで、普段履きなれないハイヒールなどを履くと、かかとにマメや靴ずれができてしまいがちです。
そこで、事前にかかとの部分にワセリンを塗ることをおすすめします。多めに塗っておくと、靴擦れの防止になります。
○花粉症にも効果的！
ワセリンの意外な効果としては、花粉症への効果です。花粉症は、鼻の穴から花粉が入り込み、鼻のセンサーを刺激することで起きます。
そこで、お風呂あがりや外出前に、綿棒を使って鼻の穴の中や入り口あたりに多めに塗っておくと、花粉がワセリンに付着して、奥まで入り込むのを防いでくれます。
◆ワセリンを使う時の注意点や副作用は？
ワセリンには薬理作用がないため、肌に刺激を与えることがなく、安心して使うことができます。そのワセリンを使用する際の注意点をいくつか紹介します。
○炎症ニキビには逆効果
赤くなったニキビは、肌の表面にある毛穴にアクネ菌というニキビの原因菌が繁殖し、炎症を起こしている状態です。
ワセリンは、肌の表面を覆い、薄く膜を作るため、厚く塗りすぎると詰まりがひどくなり、赤ニキビが悪化する可能性があります。
ただ、ワセリンには外部刺激を防ぐ働きがあるので、初期の白ニキビならば、ワセリンを塗ることでそれ以上の皮脂の分泌を防ぎ、ニキビを抑制する効果があります。
○肌の弱い人はワセリンの種類に注意
ワセリンには、白色ワセリンと黄色ワセリンがあり、白色ワセリンのほうが精製度が高く、不純物が少ないため、肌への刺激が少ないと言われています。
黄色ワセリンのほうが不純物が多いといっても、体に有害なわけではなく、黄色ワセリンのほうが経済的に安いのですが、アトピーの人や敏感肌の人など刺激が気になる方、また、小さい赤ちゃんなどは、白色ワセリンを選ぶとよいでしょう。
また、洗い落とすときに、あまりゴシゴシとこすって落とすと、肌の皮脂膜も削られてしまい、乾燥肌の原因になります。洗顔料などで、優しく洗い落とすようにしましょう。
○酸化したワセリンは使用しない
ワセリンは、一度開封すると酸化し、過酸化脂質となってしまいます。肌の老化を進めるという説もありますので、商品の使用期限を守るようにしましょう。
また、参加しないように、日が当たらない場所に置き、フタをしっかり閉めて保管するようにしましょう。
◆ワセリンには種類あり
先に述べたとおり、ワセリンには、その純度によって種類があります。この項では、それぞれの特徴について紹介します。
○コスパで選ぶなら黄色ワセリン
黄色ワセリンは、その名の通り色が黄色っぽいもので、比較的精製度が低く、不純物の含有量が多い分、コストパフォーマンスがよく、入手しやすいのが特徴です。
○高品質な白色ワセリン
白色ワセリンは、黄色ワセリンからさらに不純物を取り除いたもので、比較的値段が高くなりますが、アトピーや肌の弱い人でも安心して使える、高品質なワセリンです。
○更に不純物を除去したプロペト
プロペトは、白色ワセリンからさらに不純物を取り除いたもので、目の周りなど、刺激に敏感な部位に用いるとよいでしょう。
○最高純度のサンホワイト
サンホワイトは、プロペトよりも高い純度のワセリンです。保険の適用がきかないため、値段は高くなりますが、超敏感肌の人でも安心して使うことができます。
◆ワセリンと他のスキンケア成分の違いは？
ワセリンと並んで使われるスキンケア用品の成分に、ヘパリン類似物質や尿素といった名前を目にすることがあるでしょう。これらを一まとまりにして、よく保湿剤と言われますが、実は、それぞれ働きが全く異なります。
各成分の性質を理解して、場合によって使い分けると効果的です。
○ワセリン
ワセリンは、先に述べたとおり、皮膚の表面に膜を作ることによって、肌の乾燥を防ぐタイプの保湿剤です。
ベタつくのが気になる、という点がデメリットですが、油脂性の膜で、ホコリや化学物質などの外からの刺激をしっかりガードしてくれ、長い時間、保湿効果が得られます。
また、高純度のワセリンは、アトピーなどの敏感肌の人でも安心して使え、医療機関で、炎症を起こした部位にも使われるほど安全です。
○ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は、肌の内側で水分と強力に結びつく、軟膏タイプの保湿剤です。
また、血行促進の効果もあるので、冬に手足などに塗っておけば、霜焼け予防としても作用します。
ただし、アトピーの人や、赤ちゃんの敏感肌の湿疹に用いると、痛みや痒みを訴える場合がありますので、腫れていない肌に塗るのがよいでしょう。
○尿素
尿素は、もともと肌の内部にある成分の一つで、乾燥を防いだり、角質を柔らかくする効果があります。
ガサガサ肌の足のかかとやひじなどにもよくききます。ただし、傷のある部分や、目や口の粘膜に近い部分に使うと、痛みが生じる場合があります。
◆まとめ
いかがでしたか？
ワセリンは、適切に用いれば、副作用もほとんどなく、肌の乾燥を防いでくれる天然由来の油脂です。
家に一つ置いておけば、何かと役に立ちそうですね。
市販のものも、ドラッグストアなどにたくさんありますので、これを機会に一つ購入して、試してみてはいかがでしょうか？意外な効果に、手放せなくなるかもしれませんよ！