血尿とともに痛みがある場合はお医者さんに行こうという気になるものですが、深刻な病気に限って痛みが生じないケースがあります。
女性の場合は膀胱炎などにかかりやすく、生理、あるいは生理不順による不正出血による血液の混入などで尿検査で血尿と診断されやすいです。そのため、「膀胱炎程度ならそれほど心配しなくていいか。誤診かも知れない」という考えで診察を先延ばしにしていたりしないでしょうか。血尿の場合、膀胱炎だけではなく、腎臓や膀胱や尿道のガンの恐れもあります。
また一度血尿が出てすぐに出なくなることもあります。こういった場合、病気が治ったわけではありません。放置していると、そのまま病状が進む可能性があります。
もあるので、血尿が出たときの対処を確認しましょう。
この記事の目次
血尿に関係する病気
肉眼で確認できる血尿もありますが、尿検査で検査しなければ血尿だとわからないケースもあります。
また、痛みがともなう血尿と痛みがない血尿があります。痛みのない血尿のほうが治療の難しい病気である可能性が高いです。「痛くないから大丈夫」と思わないようにしましょう。
基本的に血尿は膀胱や腎臓など泌尿器の病気ですので泌尿器科の分野です。血尿と診断されたら泌尿器科で診察してもらいましょう。
肉眼でわかる肉眼的血尿
見ればわかるほど出血しているケースです。がんの疑いがあります。
- 膀胱がん
- 腎がん
- 尿管がん
- 膀胱炎
- 遊走腎
肉眼で確認しにくい検尿検査でわかる顕微鏡血尿
尿検査の際、尿蛋白に要請があると、腎臓病も疑われます。尿検査をしないとわからないので注意が必要です。がんの場合、痛みもない場合があります。尿検査に引っかかったら気を付けてください。
- 膀胱がん
- 腎がん
- 尿路結石
痛みがある症候性肉眼的血尿
排尿時に痛む、下腹部が痛い、など自覚症状があります。
- 結石(腎臓、尿管、膀胱)
- 出血性膀胱炎
- 尿道炎
- 遊走腎
痛みがあるため早期発見、治療に至るケースが多いです。
結石(腎臓、尿管、膀胱)
シュウ酸とナトリウムやカリウムが結びついてできるシュウ酸ナトリウム結石、シュウ酸カリウム結石などの結石ができて、激痛を走らせます。きちんと治療すれば治る病気ですが、尿道をふさいでしまうと腎臓が機能できなくなります。
尿路結石については、尿路結石の痛みについて!和らげる方法と予防方法は?を参考にしてください。
出血性膀胱炎
膀胱に炎症ができます。きちんと治療すれば治る病ですが免疫力の低い人が放置すると腎不全に発展しないともかぎりません。感染症を防ぐため抗生剤を処方されます。
尿道炎
膀胱炎同様、きちんと直せば治る病気です。
遊走腎
寝た状態の姿勢での腎臓の高さに比べ、立った時に腎臓の位置が下に下がる(下垂)した状態です。腎臓を支えている周囲の組織が弱まると遊走腎になります。立っているときだけ腹の脇や、背中や腰に鈍痛を感じ、重いものを持つと悪化します。
食欲不振、膨満感(胃)吐き気、下痢、便秘、を感じるほか、残尿感や頻尿を訴える人もいます。
重病ではありませんので保存療法が選択されます。腹筋、背筋の力がないことや痩せすぎが原因といわれているので、筋トレをすること、また適度に脂肪を付けるように言われます。コルセットを付けるなどの外部からの補助をして腹壁を緊張させるのも有効です。
痛みがない無症候性肉眼的血尿
痛みを感じない血尿です。肉眼では見えないほどの量で検査しないと見つからなかったり、一時的に傷が塞がって血尿が止まる可能性もあります。しかし、重い病気もあるので早期発見のために直ちに医療機関に受診をもとめる必要があります。
- 悪性腫瘍、癌(腎臓・腎盂・尿管・尿道・膀胱・前立腺(男性のみ))
- 非悪性疾患の腎炎症候群
- 尿管静脈瘤
- ナッツクラッカー症候群
癌
・腎がん
初期症状で血尿がでます。脇腹が痛んだり、腹部に腫瘤がでることもあります。
・腎盂がん・尿管がん・尿道がん
血尿がでることがほとんどです。腫瘍や炎症で尿路が詰まると脇腹痛や下腹部痛が起こることがあります。
・膀胱がん
血尿が出たあと傷口が塞がって血尿が止まることがありますが、治ったわけではなく、悪化しています。排尿時の痛みや排尿回数の増加が膀胱炎の症状と似ているので誤診も多いです。
急性腎炎症候群・慢性腎炎症候群
血尿は主に慢性腎炎症候群に出る症状です。急性の場合は血尿の症状がない場合もあります。
他尿検査で尿蛋白、円柱尿の反応がでたり、高血圧、腰の痛みがある場合、腎炎症候群を疑われます。
また熱がでるので風邪だと思って放置しがちです。
実際、風邪も血尿を伴う場合もあるので検査を受けて腎炎を発見しましょう。腎炎を放置すると腎不全になりかねません。
尿管静脈瘤
静脈の瘤が尿管にできると、排尿痛に血管が破れ血尿になります。静脈瘤が膨れると排尿障害を起こすこともあります。
発熱と腰痛、腎盂腎炎の合併症も起こりえます。
ナッツクラッカー症候群
初期症状は血尿以外には症状が感じられず痛みがありません。ナッツクラッカー症候群を放置すると、腰痛、貧血、起立性蛋白尿、卵巣静脈瘤、精巣静脈瘤の症状がでてきます。
血尿を防ぐには?
基本的に腎臓や膀胱の問題が原因です。大きく分けて、膀胱炎、結石、腎臓疾患、ガン、遊走腎が血尿の原因です。
膀胱炎による血尿を防ぐには
膀胱炎の原因は、トイレの長時間の我慢、不衛生な性交、結石など尿道圧迫のための残尿、温水洗浄便座のオシュレット機能の使用、女性の場合は排泄時の拭き方などが考えられます。
きれいなように見えても腸内の菌がついていることがあるので、女性は排泄物を拭くときは前から後ろにかけて拭くようにしましょう。
結石による出血を防ぐには
原因の80%はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのカルシウムの結石です。リン酸マグネシウムアンモニウム結石ができている場合もあります。いずれもミネラルとシュウ酸が結びついてできます。
結石ができる原因は、水分をとらないこと、ミネラルが過不足しているのに蛋白質をとり過ぎてしまうことといわれています。中にはシュウ酸の過剰摂取、ビタミンCが原因だといわれるケースもありますが、代謝の中で生成されるシュウ酸が原因だとしたら、食料として取ったシュウ酸とビタミンCが悪さするかどうか、というのは不明です。
丁度「コラーゲンを摂取しても、コラーゲンは一度体内で分解されるので、体内でコラーゲンがつくられない限り、コラーゲンを食べてもコラーゲンが生成されるとは限らない(しかし必要な養分は摂取しているので無関係とは言わない)」状況と似ているかも知れませんね。一応現代医学ではシュウ酸も避けるように指摘されます。
なおビタミンCは取り過ぎても吸収されずに排出されるので、過剰摂取しても意味がありません。むしろ下痢になるなど身体に負担をかけます。どっちにしろ過剰摂取は良くないですので、サプリメントで取り過ぎたりしないに越したことはありません。一日の摂取量は100mgが目安です。
ほうれん草やタケノコなどの灰汁がでる野菜にも含まれますが、水に溶けやすいので茹でれば抜けていきます。また脂肪分と一緒に取ると吸収される前に結びつくので結石のリスクを下げられます。卵スープや牛乳スープにしたりほうれん草なら卯の花にして食べる、ドレッシングをかけるなど、適度な油と蛋白質を一緒に食べるとよいでしょう。
シュウ酸を含む食べ物を避けると野菜や果物が取れなくなってしまいます。調理に気を付けて食べ過ぎなければ多少食べても大丈夫です。
ほうれん草より食生活の変化ゆえに、尿酸の元であるプリン体の過剰摂取のほうが要因としては増えているはずです。牛肉、レバーに多く含まれています。
結石ができたら?
結石になったら、小さいものは運動で排出し、大きいものは医療機関でESWL(体外衝撃波砕石術)で結石を衝撃波で破壊してから排出します。
悪化すると水腎症になってしまいます。水腎症になると腎盂腎炎を起こしやすくなります。
泌尿器系のがんを防ぐには
尿路がん、膀胱がんが起こる原因ははっきりしていませんが、喫煙者に多いとされています。腎臓は知らず知らずのうちに負担をかけやすい臓器です。過剰摂取を控え、バランスが良い食生活を続けることが基本です。特に塩分は取り過ぎる傾向になるので腎臓に負担をかけやすいです。
・喫煙
タバコでガン、というと、肺がんのイメージが強いと思いますが、腎臓は血液の有害物質をこしとる作用があるので、喫煙の影響が顕著に表れるようです。膀胱、尿路に関しても喫煙者に多いと指摘されています。
・肥満
腎臓は、血圧をコントロールする働きがあり、所謂「血液ドロドロ」状態を改善するために働きます。血液がドロドロ状態だと腎臓にも負担がかかるのです。
・利尿剤・フェナセチン含有鎮痛剤の長期使用
利尿剤やフェナセチン含有鎮痛剤の長期的な仕様は腎臓に負担をかけてしまうようです。
利尿剤ダイエットが流行ったことがありますが、副作用があるかどうかよく調べましょう。
厚生労働省はフィナセチンの危険性について指摘しており、市販の薬では使用されないようになっています。医療機関では、大量にフィナセチンを使用することが無いよう、頭痛、生理痛、歯痛等の鎮痛ではアスピリン、アセトアミノフェンなどで代用するようになっているようです。
薬で負担がかかりやすい臓器です。腎臓に疾患があるときはお医者さんに相談しましょう。
まとめ
血尿は女性に起こりやすい症状です。
痛みを伴う血尿は、膀胱炎や結石など比較的治療しやすい病気であることが多いですが、痛みを感じない血尿はがんなどの重い病気が考えられます。
また肉眼では血尿が出ているかどうかわからないケースもあります。生理がない時期に尿検査を受けましょう。
痛みを感じなくても、血尿が治まっても、血尿がでたら医療機関で診察を受けましょう。
また、血尿を防ぐためには、尿路や陰部の清潔を保ち、腎臓に負担をかけない食生活を心掛け、喫煙を控えましょう。