若木骨折ってどんな骨折?症状や原因を知ろう!治療法や予防法、診断方法は?

子どもたちの骨は成長段階にあり、私たちの骨はさまざまな外的な圧力を受けながら現在の形へと成長してきました。

今回の記事では、そのような発達段階の骨にありがちな症状として、若木骨折を取り上げます。

若木骨折について

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低年齢児童のスポーツに関わる機会のある方でしたら、若木骨折と聞いてすぐにピンとくるかもしれません。

ただ、見た目には気付きにくい症状として現れることも多いため、即自的に適切な対処の採りづらい骨折でもあります。

若木骨折とはなにか

若木骨折とはキャンプの飯盒炊飯のときに、木の枝をポキッと折るようにして骨が折れるような折れ方ではなく、針金に力を加えたときのように、曲がったような状態がキープされてしまっている骨折のことをいいます。

外見からしてぐにゃりと曲がっている場合には症状として分かりやすいですが、少ししか曲がっていない時などには見た目にも分かりづらいため、対処が遅れることもあります。若木骨折はそのため見た目だけでは判断が難しい場合もあり、痛みも数日たってから出ることも多いので、実際の骨折と病院での受診までのタイムラグが発生しやすい骨折です。

若木骨折は普通の骨折と何が違うのか

私たち大人が経験する、いわゆる普通の骨折の場合、骨に強い衝撃や圧力が加わって、まるで木の枝が折れるようにして骨がポキッと折れてしまいます。しかし、大人の骨と違って、子どもたちの骨はまだまだ発達段階にあり、強度が十分にない場合があります。

「若木」という表現が病名ではなされていますが、それはまだまだ発達段階の骨に起こった骨折であるということを表しているのですね。たとえるなら、若木というよりは草本性の植物、たとえばタンポポやハーブといった背の低い草の方がイメージがしやすいかもしれません。

それらの茎を手折るとき、木の枝のようにポキッと折れることは少ないですよね。大抵は力を込めるとぐにゃりと曲がってしまいますよね。人間の骨の場合、その曲がったものがそのままの状態になってしまうのが若木骨折というわけです。

若木骨折の患者さんはどのような人か

若木骨折の患者さんは、圧倒的に小学生低学年程度までの、骨格形成がまだ完全に出来上がっていない児童が多いです。低年齢の児童の場合、体がまだ発展途上であることに加え、外界の刺激に対する好奇心が旺盛であるため、よく転んだり落ちたりして骨折を経験する場合があります。

この記事を作成している私も、実は幼少期に踏み台から足を滑らせて腕の骨にひびが入った経験があります。高い所から落ちる、といったような急激かつ非常にピンポイントな衝撃が骨に伝わった場合は、大人と同じように骨にひびが入ったり、骨がポキンと折れてしまいます。ただし、それほど強い衝撃でない場合、骨がきれいに折れず、曲がったままになってしまうのです。それが若木骨折です。

若木骨折の特徴

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若木骨折が子どもに多い骨折であることが分かりました。続いては、実際に起きる若木骨折の症例について見ていきましょう。

骨折の分類

骨折には私たちが一般的に言うところの骨折すなわち骨が完全に折れきってしまうタイプの骨折と、骨が完全に折れきってしまわない不完全なタイプの骨折の2種類が存在します。若木骨折は不完全なタイプの骨折に分類することができるでしょう。

骨は主に硬骨と軟骨とに分けられますが、私たちが一般的に「骨折」と呼ぶタイプの骨は硬骨にあたります。骨の主成分はよくカルシウムだと言われます。それは概ね正しくて、実際にリン酸カルシウムという形のカルシウムによって、骨の大部分が構成されています。

若木骨折の症状

歯の矯正をされたことがおありでしょうか?歯の矯正と若木骨折は少し似ています。若木骨折の場合は、骨の形を、本来は変えたくないのに、何らかの事故、アクシデントに遭遇して骨に負荷がかかって骨の形が変形してしまうのです。

対して、歯の矯正の方は、若木骨折と似て子どものうちに行われることが多いですが、歯列の矯正というのは、器具をはめて、若木骨折で起きるような骨のゆがみを意図的につくり(この場合にはゆがみというよりかは元あるべき状態に矯正しているのですが)、ゆがんだ骨(歯の根)が溶け、新しい骨を生えて矯正後の歯列になじむようにしているのです。

若木骨折の具体例

私の趣味はバスケットボールなのですが、手が小さいうちから大きな7号ボールでドリブルをしていたせいか、よく突き指や小指が痛い、ということがありました。それでもバスケットボールが好きでずっと続けていたのですが、気が付けば、両方の手の小指が外側に反り返っているようになりました。

若木骨折は突き指などの怪我とぱっと見の症状の区別が付かないことが多いです。また、骨に対する圧力を継続的に受けていれば、骨がゆがむのは必然と言えるでしょう。他にも、転んだ際に手をついてしまったりして、手首の骨がゆがむ若木骨折の例などが知られています。

若木骨折の原因

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若木骨折はどんな子どもにでも起こり得る、身近な骨折であるということが分かりました。続いては、若木骨折の原因について見ていきましょう。

若木骨折の根本的な原因

若木骨折の根本的な原因は骨が柔らかいことと、その柔らかい骨に何らかの衝撃が加わることにあります。骨が柔らかいのは、子どもの骨が発達段階にあるからです。また、なんらかの原因で、骨の強度が落ちている場合なども、若木骨折の可能性はあります。ただし、骨粗しょう症のような骨密度が落ちている場合は若木骨折は起きにくいです。なぜなら、骨がスカスカで、すぐに折れてしまうからです。

若木骨折の場合、骨自体は柔らかいのですが、柳の枝のようにしなやかさがあります。そのため、圧力がかかると曲がってしまうのです。特に転んだときなどは注意が必要で、打ち所が悪かったり、思わず手をついてしまったりすることによって若木骨折になるケースが考えられます。

若木骨折になる遠因

先ほど歯の矯正を例に出して若木骨折との類似点を説明しました。歯の矯正の場合、一度にずれる(ゆがむ)骨の幅は歯一本につきだいたい0.3mmだと言われています。だいたい一年くらいかけてそれくらいしか動かないのです。それを考えると、若木骨折でもしも目に見えるくらい大きな症状が出ていたとすればかなり大きな骨折のような気がしますね。

たとえば、猫背という表現があります。あれは長年の姿勢の結果、あのように骨が変化してしまう現象です。子供たちは筋力がまだ少なく、きちんとした姿勢を維持することが特に低学年の児童には難しいのです。

そのため、低年齢の子どもは背筋をピンと伸ばして勉強したりするのが苦手で、ついつい猫背やだらりとした姿勢になってしまうのですが、そのような姿勢は骨格に圧力を加え、骨にゆがみを生じさせる遠因となってしまうことが予想されます。

若木骨折の治療

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若木骨折は骨に対する衝撃や圧力によって生じ、特に柔らかい骨の場合に起こりやすいということが分かりました。

続いては、そのような若木骨折をしてしまった場合、どのように治療すればよいのかを見ていきましょう。

若木骨折の治療の種類

若木骨折といえど、骨折であるため、基本的には包帯を巻き、骨や骨折した部位を固定して骨が新しく生えて元の状態に戻るのを待つという治療方法が選択されます。この場合注意が必要なのは、骨折した骨がまた別の方向に曲がったりしないように、きちんと固定しておくと言うことです。

子どもの骨は未成熟な骨であるため、骨が生えるべき方向をきちんと示してやると、ぐんぐん伸びてきます。そういった側面が教育とも似ています。若木骨折はいわば、なんらかの原因でひねくれ者や素行の悪い、手のかかる子になってしまった児童のようですが、きちんと指導すれば素直な骨に戻るというわけですね。

若木骨折の治療の前に

「若木骨折」のなかでも軽度のものは痛みもほとんどないことがあり、気付かれないままに患者さんが大人になってしまうことがあります。私も大人になってからそのような症状が自分にも見られることを発見して驚きました。

「骨折」という名称が付いているとものものしく感じますが、若木骨折の場合はどんな子どもにも有り得る症状として親御さんがお子さんをよく観察されることが症状を発見するために大切だろうと思われます。

症状の当事者である子どもの方は、自分が患者さんになっていることに気付いていないということもままあります。

若木骨折の具体的な治療例

具体的な治療の例としては、たとえば踏み台かた落ちて、腕を若木骨折したとしましょう。一般的には、だいたい3週間くらい、包帯や専用のベルトを使って腕を固定しておくと言われています。実際の治療の場合、包帯で腕をぐるぐる巻きにされ、両方の肩にたすき掛けでベルトが装着され、骨が動かないように固定されます。

3週間程度でほぼ全快します。ベルトを外した後も、リハビリなどの必要がないことが多いです。それよりも、利き手を若木骨折などした場合は、学校の授業のメモを取ったりするときに面倒だったり、外で遊べないことなどが子どもにとってはストレスでしょう。

治療後、当初はまだ変形が少し残っている骨も、体の成長に伴って自然に矯正が行われ、見た目に痕跡が残ることはまずないと思われます。

若木骨折の診断

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若木骨折はとにかく骨のずれを修正するということが治療において重要であるということが分かりました。続いては、若木骨折がどのように診断されるのか見ていきましょう。

若木骨折の見た目

若木骨折の症状がひどい場合は、おそらく見た目で一発で分かるかと思います。それは歴然として明らかな曲がり具合をしていると思われます。ただし、難しいのは、ぱっと見では分かりづらい若木骨折の場合です。

単純な骨格のずれという問題であれば、私たちの多くは体のどこかしらにゆがみを抱えています。それは長年の生活環境などの影響もあります。それは自覚症状のあるものから、自覚症状の薄いものまで多種多様であります。そのため、症状を見抜くには、親御さんはお子さんの様子、特に細部に現れる変化にある程度敏感である必要があります。

症状の個人差

ボーダーラインの若木骨折の判断は難しいため、医療機関への受診というのは、最終的には本人および周りから見たときの症状の大きさ、状態の評価によってなされることになるでしょう。若木骨折の症状は部位や骨に加わった衝撃の程度などによってさまざまです。少しゆがんでいるくらいの軽微な変化から目に見えて骨の曲がり具合がはっきりと分かる症例まで多種多様です。

そのため、多くの若木骨折の場合、実際に痛みが伴うようになってから医療機関を受診するというパターンが多く見られます。若木骨折の場合、骨がゆがんだ直後は痛みがなく、骨が成長を再開したときなどに痛みという症状として現れることが多いからです。場合によっては、まったく痛みのないまま成長していくケースも往々にして見られます。

診断方法

若木骨折の診断材料というのは、まずは年齢です。低学年、もしくは骨がまだまだ未成熟な児童がなんらかのアクシデントで怪我をした場合はよく患部やその周辺を観察する必要があるでしょう。また、日常動作の細かな変化にも気を配れると早期発見および適切な対処ができるでしょう。

ゆがんだ骨のが成長して伸びてくると、それを修正するのは多くの時間や費用がかかります。大人になってから歯の矯正をするとお金も時間もかかったあげく、最終的に今ある歯を抜かなければならなくなったりする事例と同じです。親御さんが早く見つけてあげて、医療機関で適切な処置を施すことがベストでしょう。

若木骨折の予防

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やはり若木骨折においても早期発見・早期治療というのが大切になってくるということが分かりました。続いては、若木骨折を予防できるのか、という観点から見ていきましょう。

予防可能か

若木骨折は予防が可能なのでしょうか?習慣によって予防可能な部分は大いにあります。柔道などの武術では、受け身を最初に習いますよね。そのような体さばきの知識および実践は実際にお子さんが転んだとき、うまく怪我せずに済むことに役立ちます。スポーツはさまざまな怪我の原因にもなりますが、身体の正常な発達において重要な役割も担っているのです。

ただし、完全に予防不可能な場合もあります。これはたとえば、双子ちゃんを妊娠した場合などにありがちです。知り合いの双子の姉妹は、出産前の母親の胎内にいる期間に、妹のほうが姉の頭をけたぐって、姉の後頭部の頭蓋骨が少しだけへこんでしまっていたということがありました。

このようなケースは胎児の骨が非常にやわらかいことによって生じる現象ではありますが、防ぐのは運まかせということになるでしょう。

治療と予防

治療に関しては、若木骨折は割とポピュラーな症例であり、すでに治療方法も確立しています。健康保険の適応はもちろん、普通の怪我や骨折などの症状と同じように対処できます。ただし、骨の固定ということに関しては十分な注意が必要な点が他の骨折とは少し違う部分であるということが言えるでしょう。

予防に関しても、先ほどはスポーツにおける受け身の例を挙げましたが、それすらも必要ないかもしれません。あまり過保護にして、子供たちの可能性を摘んでしまうということがあってはならないと思います。どちらかというと、若木骨折の場合は症状を早期に発見・早期に治療するということが重要でしょう。

日常的な対策

もちろん、親はただ手をこまねいて子どもが怪我したらしいときだけしっかり観察していればよいかというと、それだけというのも問題があるように思われます。やはり、危ない遊びを一人でしているときはやめさせて、親や誰か保護者の管理の下でさせるように教育する必要はあるでしょう。

また、踏み台や階段などは特に落下事故が起こりやすく、若木骨折を発症する遠因になりかねない危険な場所です。お子さんが小さいうちは、なるべく目の届く範囲にお子さんを置いておくこと、お子さんが登ってしまいそうな物体はなるべく排除しておくことも事故を未然に防ぐためにある程度有効でしょう。

まとめ

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今回の記事のまとめは以下の通りです。

  • 若木骨折は子どもに多い骨折で、普通の骨折のようにポキッと折れず、針金のようにぐにゃりと曲がる
  • 若木骨折は見た目で分かりやすいものから、生活習慣によって形成された体のゆがみのように、ぱっと見で分かりづらいものまであり、多様な症状がある
  • 若木骨折の大きな要因は柔らかい骨と骨への衝撃である
  • 若木骨折の治療は、早期発見・早期治療および骨の固定が重要である
  • 症状の軽微な若木骨折を一目で見抜くのは難しい
  • 特に年齢の低い幼児の場合、事故を未然に防ぐというのも重要である

若木骨折はどんな子どもでも起きる可能性のある症状です。そして、早期発見と適切な対処が重要となります。

  
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