母乳育児のママは仕事に復帰する際や、どうしても赤ちゃんを預けて外出しなければいけないときでも、出来れば赤ちゃんに母乳を飲ませてあげたいと思いますよね。
そんな時に母乳を保存しておけば、ママの代わりに、赤ちゃに母乳を飲ませてもらうこともできます。ここでは、母乳の保存の方法、保存期間や注意点をまとめてみました。
母乳の搾乳方法
母乳を保存するために、まずは、母乳を搾乳しなければいけません。搾乳する前に、乳房を上下や左右にそっと動かしてマッサージをすると、血流がよくなり乳腺の流れもよくなるので、母乳の分泌がよくなります。2通りの搾乳方法を紹介したいと思います。
手で搾乳する方法
まず、母乳を入れる容器を片方の手でもち、もう片方の手の親指と人差し指で「C]の字を作るような形にして、乳輪の外側にあてます。その指の腹の部分で乳輪の外側を軽く押さえます。親指は、軽く押さえたままで、人差し指を乳輪の外側から乳頭の方へと、すべらせるようにしていきます。この時に力を入れすぎたり、同じ所ばかり行うと、炎症を起こす原因になることもあります。
同じ所ばかりに偏らないように、左右、上下、斜めなどいろいろな方向から、この動きを繰り返します。赤ちゃんが飲むときのようなペースで、搾乳するといいでしょう。
注意したいことは、長時間搾乳すると乳房や乳腺を傷つけてしまうこともあるので、15分~20分程度を目安にして、母乳の出が悪くなってきたら無理に続けずに、搾乳をやめるようにしましょう。
搾乳器を使う方法
搾乳器は手動式の物と電動式の物があります。搾乳の仕方はどちらも同じです。搾乳口に乳頭をあて、手で搾乳する時と同様に左右、上下、斜めなどいろいろな方向から搾乳しましょう。
搾乳器と冷凍パックがセットになったタイプの物もあります。冷凍保存パックに搾乳器をセットします。搾乳した母乳を直接パックに入れることが出来て、そのままパックを冷凍出来るという便利な搾乳器です。母乳育児を続けるうえで、このような便利なグッズを活用して、搾乳の手間や時間の負担を軽減することも大切でしょう。
搾乳器を使う場合、人によっては手で搾るよりも太い乳腺からの搾乳しかできず、細い乳腺から搾れずに詰まってきたり、搾乳器の吸引力で乳腺や乳頭を傷つけやすい人もいるので、これらの症状がでたら、搾乳器の使用をやめて、治らないようなら助産師や産院で診てもらいましょう。
母乳の保存方法
母乳を保存するためには、耐熱ガラスか耐熱ポリプロピレン製の容器が必要です。一番手軽に使えるのは、熱湯が大丈夫な哺乳瓶です。保存方法は、室温保存、冷蔵保存、冷凍保存が可能です。冷凍保存の際には、冷凍保存専用の母乳保存パックが便利です。
室温保存の場合
搾乳後、容器に入れたままの状態で保存した場合、室温が25度以下なら約4時間位は保存が可能だといわれています。
しかし、置いた場所による温度の誤差や衛生面等を考えると、30分以内に使わないような場合は、冷蔵保存か冷凍保存をした方がいいでしょう。
冷蔵保存の場合
冷蔵庫で保存する場合は、約3~4日位は保存が可能だといわれています。しかし、冷蔵庫は、開閉することにより庫内の温度差が出てくるので、より安心なのは、24時間以内を目安とした保存が理想的です。
保存する際に置く場所は、冷蔵庫の開閉の際に温度差が少ない、一番奥に置くようにしましょう。
冷凍保存の場合
冷凍保存する際には、冷凍保存専用のパックに入れて、しっかりと空気を抜いてから密閉しましょう。冷凍するとパックが膨張するので、容量はパックの3/4位にした方がいいでしょう。パックには、必ず搾乳日を記入してから保存するようにしましょう。赤ちゃんの飲み方、使い方によって量を加減出来るように、小分けにして冷凍することをおすすめします。
冷凍保存の場合は、約3か月位保存が可能といわれています。しかし、冷凍庫内も、開閉による温度差もあるので、より安全性を考えると約2週間~1か月以内の保存が理想的です。
保存した母乳の使い方
室温や冷蔵保存の場合は、容器をお湯につけて人肌位に温めます。成分が分離していることがあるので、少し振ってから飲ませるようにしましょう。
冷凍保存の場合は、まず自然解凍させるか、ぬるま湯か流水で解凍してから、哺乳瓶に入れます。その哺乳瓶を、お湯につけて人肌位に温めます。冷凍保存した母乳を50度以上の熱湯で解凍したり、直火、電子レンジでの加熱は、母乳の栄養成分であるタンパク質や免疫物質を壊してしまうので、絶対にしないようにしましょう。
母乳を解凍したら、遅くても10時間以内には使うようにしましょう。母乳の再冷凍は出来ないので残った母乳は、必ず捨てるようにしましょう。
母乳の保存がうまくいかない時は?
ときには、搾乳―保存―授乳の流れがスムーズにいかないこともあります。母乳保存の際に、起こる可能性のある事をまとめてみました。
赤ちゃんが飲んでくれないとき
授乳が完全に母乳だけの赤ちゃんの場合は、哺乳瓶の乳首に慣れていないので、その乳首の感触や硬さ、出る量など、赤ちゃんなりの理由でその乳首を嫌がることがあります。対策としては、乳首も人肌位に温めて、ママの母乳での授乳と同じ様な状況をつくってあげます。
そして、飲ませるときに、口のなかに少し哺乳瓶から母乳をたらして入れてあげると、母乳と同じだとわかって、飲み始めることもあります。
乳首の好みが問題のときは、メーカーや素材によって、硬さや出る量もいろいろあるので、赤ちゃんに合った乳首を探してみましょう。
搾乳のときになると母乳がでない
搾乳は、産後の不安定な体で育児に追われているママにとって、大変な作業でもあります。疲れがたまっていたり、睡眠不足やストレスから母乳の分泌が悪くなることもあります。ママが一番リラックスできる環境で、身体を休めることも大切です。
赤ちゃんを見たり赤ちゃんの声を聞いたり、赤ちゃんの事を考えると、愛情ホルモンといわれる「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。オキシトシンの分泌が活発になることで、母乳の分泌も良くなります。心身共にリラックスした状態を心がけてみましょう。
長時間かけて搾乳し続けるよりも、短時間で回数を増やしてみたり、左右交互に搾乳をする方が母乳が出やすくなることもあります。
母乳の量が少ないと感じたとき
疲れやストレス以外にも、食生活も気を付けてみましょう。身体を内側から温める根菜や、鉄分を多く含む野菜やフルーツなどの食材を意識して摂るようにしましょう。
また授乳中は水分補給がとても重要なので、細目に水分を摂るようにしましょう。冷たい飲み物をたくさん摂ると身体も冷えてしまうので、常温か温かい飲み物を細目に摂るようにして、身体を冷やさないような水分補給の仕方を心がけることが大切です。
搾乳するときに痛みがでる
搾乳が続くことで、乳頭や乳腺に痛みを感じたり、しこりが出来たりした場合は、乳頭に傷が出来て乳腺炎をおこしかけている可能性もあります。無理に搾乳を続けると悪化することもあるので、助産師や産院での診察を受けるようにしましょう。
まとめ
何かの事情で直接母乳をあげることが出来なくても、保存ができれば、断乳することなく母乳を赤ちゃんに飲ませてあげられます。しかし、母乳育児を頑張り過ぎてしまい、搾乳に無理をしてしまったり、ストレスで母乳がでなくなってしまっては、逆効果になってしまいます。
母乳保存で授乳を続けるのは、手間も時間も更にかかります。出来るだけママにかかる負担を減らして、ストレスを増やさない工夫も大切です。そのためにも、パパや家族の協力は不可欠でしょう。母乳で育児を続けていくために、保存した母乳の飲ませ方や注意点などを、パパや家族にも一緒に覚えてもらって、協力してもらうようにしたいですね。