みなさん、パジェット病という病気を聞いたことはありますか。パジェット病とは皮膚にできるガンの一種を言います。あまり聞きなれない病名かもしれませんが、知らない間にパジェット病にかかっており、気づいたころには治療が困難となっているケースもあります。
そこで、ガンが人間にできる理由、そしてパジェット病とは一体どういったものを指すのか、治療方法や対策といったものを紹介していこうと思います。
ガンができる理由をまずは知ろう!
では、そもそも、人間にガンができる理由について説明します。
ガンが発生する理由は様々なものが考えられます。ガン細胞が人間にできる理由として代表されるのが、遺伝によるもの、発がん物質を摂取したことによるもの、ウイルス感染によるもの、紫外線に過度にあたりすぎたことで生じる、食生活を含めた生活習慣が著しく悪い場合などが挙げられます。
しかし、ガンの原因は、上に挙げた理由ひとつで生じるわけでは必ずしもありません。多くの場合は、遺伝に加え生活習慣が著しく悪かったりと、複数の原因が起因してガンに発展します。
また、ガン細胞は人間の体で生成されても、免疫細胞がこれを破壊してくれるのでガンが定着することはないのですが、過度なストレス、加齢等の理由で免疫細胞の活動が抑制されてしまうと、ガン細胞の増殖を抑えることができなくなってしまいます。
ですから、ガンができる理由を特定するのは不可能ですが、少なくとも免疫力が低下しないよう、低下するスピードを抑えることが大切になってきます。
パジェット病とは?
では、パジェット病とはどういったもので、どのような種類のものがあるのかを説明しようと思います。
パジェット病とは皮膚がん
パジェット病とは、皮膚ガンの一種をいいます。そして、その発症した部位によって、乳房パジェット病、乳房外パジェット病と名称が異なります。
乳房パジェット病
乳房パジェット病は、乳房にパジェット病が発症し、ガン化した物を指します。乳ガンの特殊なものとして位置づけられており、乳がんのうちごく一部がパジェット病によるガンであるとのことです。
乳房パジェット病が発症する敬意としては、乳頭近くに存在する乳管上皮からパジェット細胞が発生し、それが乳管内を進行して乳頭に達し、乳頭表面の皮膚に侵入することで、乳房パジェット病が発症されるとのことです。
乳ガンの一種ですので、主に女性に発症し、稀にですが男性にも発症します。そして、発症する方のほとんどは50代を超えた方ですが、若い方でも発症するリスクがあります。しかし、通常の乳ガンと異なり、乳房にしこりができないのが特徴ですので、知らない間にパジェット病が進行しているということも大いにあり得ます。
乳房外パジェット病
乳房外パジェット病とは、皮膚の表皮内にパジェット病を発症し、それが転移した物を指します。乳房外パジェット病は、乳房パジェット病と異なって、男性に多く見られます。年齢的には、定年を迎えた60代以上の方に多いようです。
乳房外パジェット病が発症する部位は、主に外陰部です。その他に肛門や脇の下、へそにも発症します。
骨パジェット病
パジェット病というのは、乳房パジェット病と乳房外パジェット病を指すのですが、良く似た名称の病気意図して骨パジェット病というものが存在します。
骨パジェット病とは、骨に慢性的に発生する疾患を指します。骨パジェットようを発症すると骨の代謝が過剰となってしまい、結果として、発症した骨が肥大化してしまう病気を言います。
骨パジェット病となると、骨の分解、及び分解に伴う形成が増加します。通常であれば、骨が分解・形成がされると、骨より上部となるのですが、骨パジェット病の場合は、骨がかたくなる前に分解と形成が繰り返されてしまうので、骨が肥大化するのと反比例して他の骨より弱くなってしまいます。
症状としては、無痛である場合もあるのですが、骨の痛み、肥大化による変形、関節に負荷がかかることによって生ずる炎症、肥大化した骨が神経を圧迫してしまい、痛みが生じることがあり、パジェット病の有無はレントゲン撮影によって判明します
骨パジェット病の場合、どの骨にも発症しやすいのですが、発症しやすいのは、骨盤・大腿骨・頭蓋骨・脛骨・脊椎・鎖骨・上腕骨が挙げられます。
発症は、やはり若い方に比べ年齢の高い方の方が発症しやすいのですが、日本での発症よりも、アメリカやイギリスといった諸外国において発症が見られます。
乳房パジェット病・乳房外パジェット病と異なるのは、骨パジェット病は、ガン細胞には分類されず、そのほとんどが良性の腫瘍で、手術の必要性がないものが多いことです。
パジェット病の原因
では、上で紹介したパジェット病の原因についてご紹介します。
乳房パジェット病・乳房外パジェット病の原因
乳房パジェット病・乳房外パジェット病の原因は、ガンが生じてしまう原因と同一ですが、特定の原因があるとはいえないのが現状です。しかし、考えられ得る原因としては、様々な作用を及ぼす皮膚表面の細胞が、悪性腫瘍化してし舞うことが考えられます。
骨パジェット病の原因
骨パジェット病の原因は、破骨細胞と呼ばれる古い骨を分解する細胞と、骨芽細胞と呼ばれる新しい骨を作る細胞に異常が生じることが挙げられます。
破骨細胞と骨芽細胞が正常な場合は、互いの細胞が適正に作用しあい、正常な骨の形成をします。しかし、骨パジェット病の場合では、何らかの理由で骨の一部の領域において、破骨細胞と骨芽細胞が過剰な働きをしてしまい、骨の破壊と形成が繰り返されることになります。形成をするごとに骨は大きくなりますが、硬さを伴っていないので、非常にもろくなってしまいます。
ただ、破骨細胞と骨芽細胞にトラブルが生じる具体的な理由はまだ判明されていません。ただ、同一の家族内で骨パジェット病の発症が見られるケースが多いので、遺伝によるものが考えられますが、特定に至らないのが現状です。
パジェット病の症状
では、上に挙げたパジェット病の症状についてご説明します。
湿疹・かゆみ
乳房パジェット病・乳房外パジェット病を発症した方に見られる症状で代表的なのが、パジェット病が発症した部位に湿疹が出来たり、その部位にかゆみが生じる症状です。個人差がありますが、湿疹ができず、かゆみだけが生じる方もいらっしゃいます。
パジェット病で生じる湿疹の場合、赤い斑点ができ、湿疹となった部分と他の部分が比較的明瞭に区別できます。また、ひどい状態となると、白く抜けた色になったり、薄茶色になってしまう場合もあります。
また、パジェット病によって生じる湿疹は、ガン細胞ですので、市販の湿疹の薬をもってしても完治することはありません。ですから、薬を使っているのに湿疹がなおらないという方は、皮膚科等の受診をお勧めします。
じくじくする、ただれる
パジェット病が進行すると、発症した部分が熟しすぎた果物のようにじくじくになってしまい、液体が流れ出たりします。また、皮膚がびらんと呼ばれる症状が現れ、皮膚がはがれおちたりしてしまうようです。
かさぶたができる
また、パジェット病になってしまうと、怪我をしたわけでもないのにかさぶたができてしまいます。また、かさぶたをはがしても出血を伴いません。
骨パジェット病の症状
骨パジェット病を発症すると、ひどい方の場合、骨に痛みを生じたり、骨の肥大化、変形といった症状を発症する方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は無症状です。
骨の痛みの特徴としては、うずくような痛みを伴います。また、骨の肥大化に伴って神経を圧迫して、しびれや痛みを併発します。
パジェット病の治療方法
では、パジェット病の治療方法についてご説明します。
患部を摘出する外科手術
乳房パジェット病・乳房外パジェット病の治療方法としては、患部を摘出して完治を目指す外科手術によるものが一般的です。
ただ、皮膚を切り取る手術ですから、手術後は、切った部分を補うため、皮膚の移植手術を行います。
レーザー治療によるもの
また、摘出手術をもって、摘出できない部位に出来た腫瘍については、レーザー治療で完治を目指します。
レーザー治療は、パジェット病の患部に、レーザーに反応する特殊な物質にがん細胞を含ませるため注射します。そして、レーザー照射をして、その物質とともにガン細胞を攻撃して、ガン細胞を治療する方法をとります。
メスで皮膚を切り取る、といった作業を伴わないため、体の負担を軽減できる治療です。
化学療法
患部を切り取らない方法としては、抗がん剤の投与でガンの消滅を目指す方法が取られます。ただ、パジェット病に効果的な抗がん剤治療が未だに確立しておらず、投薬治療の場合は、患者の体に合わせて行わないと副作用が生じる恐れがあります。
骨パジェット病の治療
骨パジェット病の場合、無症状のものも存在しますので、治療が必要とならないものが多いです。
しかし、骨に痛みを伴ったり、歩行困難になった場合は、骨の中の腫瘍を取り除く整形外科手術をすることもあり得ます。また、運動をしなくなると骨が弱くなる一方ですから、骨の弱さを補うため、適度な運動をするように忠告されることがあります。
また、破骨細胞の異常活動が骨パジェット病の原因ですから、投薬治療で、破骨細胞の活動を抑えて、骨の正常な形成を促すことが考えられます。
まとめ
パジェット病とは、皮膚にできるガンの一種で、乳房パジェット病と、乳房外パジェット病の二種類があります。また、ガン細胞ではありませんが、骨に腫瘍ができてしまう骨パジェット病があります。
パジェット病の原因ははっきりとしませんが、ガンができる原因と同様、遺伝や生活習慣等が挙げられます。
乳房パジェット病・乳房外パジェット病の症状は、湿疹、かゆみ、皮膚のただれがあります。骨パジェット病の場合は、無症状の場合が多いですが、稀に骨の痛みや変形を伴います。
乳房パジェット病・乳房外パジェット病の治療は、患部を摘出する外科手術やレーザー治療、投薬治療が挙げられ、骨パジェット病の場合は、整形外科手術等があります。
乳房パジェット病・乳房外パジェット病は、湿疹やかゆみが伴う程度ではありますが、ガンであることには変わりありません。ですから、ガンが他の部分に転移することを防ぐために、少しでも症状に当てはまる方は、皮膚科等への受診をしてください。