「最近、目がゴロゴロ、ショボショボする・・・。」
「目薬をさしてもなかなか充血が引かない・・・。」こんな症状が続いていたら、角膜炎の可能性があります。
放っておいたら、我慢出来ないくらいの痛みがでたり、最悪の場合失明に陥ってしまったりする病気です。
名前はよく聞くけれど、詳しい症状や病院に行くべきものなのか分からない・・・。そんな人に、是非最後まで読んで頂けたらと思います。
黒目の表面にある透明な組織“角膜”
角膜炎についてお話する前に、角膜そのものについてお話します。
角膜とは、眼球の部位で私たちが黒目と呼ぶ場所の表面部分を指します。視覚情報の第一段階、光を取り入れる為の透明な組織です。
傷や炎症を起こした時の自己修復能力が高いことが特徴に挙げられますが、目の表面にあること、厚さ0.5mmの繊細な組織である為、常に様々な障害にさらされています。
角膜炎について
角膜炎とは、様々な原因で角膜に炎症を起こす目の疾患の事を総じて指します。
角膜炎の主な症状
角膜炎の症状は様々で、主に以下のようなものがあげられます。
目がゴロゴロ、しょぼしょぼする
疲れ目や、異物が入った様な違和感と似ています。まばたきで角膜の傷がまぶたに触れることでも感じられます。
涙、目ヤニが頻繁に出る
花粉症やアレルギーの症状と似ています。異物を目から出そうとしています。
目の充血が引かない
他の症状と一緒に発症する事が多いです。とくに角膜周辺の充血が目立ちます。
目の痛み
目を開けている事が辛くなり、就寝中でも目の痛みで起きてしまう事もあります。痛みが酷いと、連動して頭痛を引き起こすこともあります。
まぶたの腫れ
全体的に腫れる場合と局所的に腫れる場合があります。まぶたの裏にプツプツとした湿疹のようなものが出来る場合は、角膜炎ではなく結膜炎の可能性もあります。
黒目の濁り
白く点状に濁る場合と、雲がかかった様に濁る場合があります
視力の低下
始めは目のかすみや、まぶしく感じる様な違和感があります。目の疲れや痛みに繋がります。
以上7つの症状はほとんど片方の目のみに現れます。症状の進行は個人差があり、急に深刻化する場合もあります。
角膜炎の様々な原因
角膜炎になってしまう原因は沢山あります。しかしほとんどの症状に共通することがあります。それは“角膜がなんらかの刺激を受けて傷つく→病原体となる細菌が角膜内に侵入、感染してしまう”ということなのです。
その共通事項である“角膜が病原体に感染する原因”を以下に挙げます。
ゴミ、ホコリが目に入った際、強くこすってしまう
本来角膜は、表面にゴミ、ホコリが付いてしまったら自然に涙で落とす事が出来ます。しかし、目に入った時にかゆくて掻いてしまうと、指や、その混入物で傷を作ってしまいます。
傷を修復しようとする動きや、残った異物感で目がゴロゴロ、ショボショボする原因になります。そして傷口から病原菌の侵入、感染に繋がります。
葉っぱ、紙などが目に入ることによる外傷
葉っぱや紙で手を切った事がある人もいるかと思います。柔らかくて薄いと思われる葉っぱや紙は、私たちが想像しているよりも凶器になりやすいのです。
目に入ってしまった場合、角膜を深く傷つけてしまう場合があります。角膜の、傷を自然に修復する力だけでは治すのに時間がかかり、その間に病原菌の侵入、感染を招いてしまうのです。
コンタクトレンズ編1・誤った着用法による角膜への傷
コンタクトをつける際爪が長く伸びていたら、誤ってその爪で目を傷つけてしまう可能性があります。装着前に手を洗わず、雑菌、ホコリがついた指でコンタクトを持ってしまえばそのまま目にも入ってしまいます。
そして著しくサイズの合わないコンタクト(大きめのカラーコンタクト、自身の眼球のカーブに合わないコンタクト)を無理矢理つけてしまう事で、傷を作ってしまうこともあります。
コンタクトレンズ編2・誤った手入れによるカビや微生物への感染
使い捨てではないコンタクトの洗浄が不十分であったり、使い捨てのコンタクトを使用期間をすぎても使っていると、目のタンパク汚れや雑菌の繁殖でカビが生えてしまうことがあります。
角膜ヘルペスから二次感染
コンタクト着用中や、花粉症にかかっている訳でもなく、片目だけ充血している時は角膜ヘルペスの可能性があります。元々神経に住み着いているヘルペスの菌が目で活動してしまう病気で、加齢や疲労から発症すると言われています。充血の他に、目の異物感も感じられます。
この際に目をこすったりしてしまうと更なる病原菌の感染につながります。
ドライアイ
長時間のPC作業、スマートフォンの使用からくる眼精疲労、もしくは瞬きの不足等から起こってしまうドライアイは、角膜炎の原因になります。涙の減少は、外気からの角膜の保護や、異物を取り除く為の自然修復の力を弱めてしまいます。
ステロイド入り点眼薬の誤った使用
本来であればものもらい等の細菌感染症に効果的なステロイドの入った点眼薬ですが、症状が治まったにも関わらず続けて長期間使用していると、角膜やその他目の自然治癒の機能が衰えてしまいます。そして使用が終わってからはほとんど無防備な状況になってしまうので、ちょっとした細菌の感染にも弱くなってしまうのです。
さかさまつげ
さかさまつげで常に目が痛い人は要注意です。瞬きで常に目を傷つけている状況なので、角膜への細菌感染の温床となっています。
原因、症状に合わせた治療法
角膜炎は患者さんによって治療法が異なります。もし自身に角膜炎の疑いがあるならば、市販の目薬でごまかすだけでなく、早めにお医者さんに診てもらいましょう。
細菌感染による角膜炎
原因・・・ホコリ、ゴミの混入で目をこすってしまった場合や、サイズの合わないコンタクトレンズの使用で傷をつけてしまった場合
治療法・・・抗菌剤の入った目薬を一時間に一回さすことと、抗生剤の点滴、もしくは内服で全身的に治療を行う事が多いです。
真菌(カビ)の繁殖による角膜炎
原因・・・葉っぱ、紙などによる外傷、使い捨てコンタクトレンズの連続使用、ステロイド入りの目薬の長期使用
治療法・・・抗菌剤の中でも、真菌に効くものを選んで点眼します。二次感染を防ぐ為に眼帯の装着も必要となります。
角膜ヘルペスによる角膜炎
角膜ヘルペスの場合、ヘルペスの菌が悪さをしているだけでしたら、抗ウイルス剤が入った目薬を1週間ほどさして様子をみます。他の細菌感染等がみられる場合は、並行して点滴や内服薬、抗ウイルス剤の効果を邪魔しない目薬などで治療していきます。
アカントアメーバ角膜炎
原因・・・コンタクトレンズの誤った手入れ方法による、微生物の繁殖です。この微生物の名前がアカントアメーバといいます。
治療法・・・カビによる感染の角膜炎と似ています。抗真菌剤による治療を行います。
角膜炎の予防策
様々な原因、症状がある角膜炎の予防には、自身の生活環境に合わせて対策を行っていくことが大切です。
細菌感染の防止に・・・
日頃から目をこすってしまう癖のある人は、できるだけこすらないようにする様にしましょう。癖が直っていない状態の時は、常に手指を清潔にしておいてくださいね。
そして、目にゴミやホコリが入った時には目薬や水道水などで洗い流しましょう。
目薬のさしすぎには注意!
上記の様に目を洗い流す目的が有る場合や、お医者さんの指導で頻繁に行う以外での目薬のさしすぎには気をつけましょう。目が涙を作る力を弱めてしまい、目薬を使う習慣を無くした時に“ドライアイ→角膜炎”の原因を作ってしまいます。
一日の理想的な使用頻度は3〜4回です。市販の目薬を長期的に使用する場合はお医者さんに相談しましょう。
真菌繁殖の防止に・・・
目に葉っぱや紙が入る可能性がある作業をする時は、眼鏡を着用することで防止できます。
カラーコンタクトを使用する人は度あり、度なし関係なく、眼科で自身の眼球の形を調べてから合うものを購入するようにしましょう。
アカントアメーバ角膜炎の防止に・・・
コンタクトレンズの適切な手入れを心がけましょう。そして、使用期限のすぎたコンタクトの使用は厳禁です。取り扱い説明書や、お医者さんの指示はしっかりと守りましょう。
ドライアイ、さかさまつげの人へ・・・
ドライアイの人は、瞬きを意識、眼鏡の着用で有る程度の改善が期待されます。さかさまつげの人は、メイクに使うビューラーの使用でまつげを上にあげることが可能です。
しかし、改善策を取らずに放置してしまうのは角膜炎の原因になりますので、一度眼科へ受診する事をおすすめします。
全ての人へ・・・
眼科検診は定期的に受けましょう。
カラーコンタクトの普及、パソコン、スマートフォンの使用等で、現代に生きる私たちは目に疾患を抱える機会が増えています。
体や歯の定期検診と同じように、眼科検診は健康の維持の為に大切なものなのです。
まとめ
角膜炎という病名はほとんどの人が知っていると思います。知る機会が増えているということは、誰でも発症しやすいきっかけが多いということなのです。
角膜という、目の一番表面にあり、一番繊細な部分についても勉強しておく事で、詳しい病状についても理解しやすくなると思います。
角膜の機能が守っている視力は、私たちの生活になくてはならないものです。いつまでも健康的に維持できるように心がけるようにしましょう!