抗生物質とアルコールの飲み合わせは危険?副作用に注意!

病院や処方箋薬局で、よく耳にする「抗生物質」という薬。私たちにも、比較的馴染みのある薬の一つと言えるのではないでしょうか?種類も非常に多く、内科や皮膚科、歯科や眼科など、病気によって、それぞれ適した抗生物質が処方されています。

他の薬のように、用法・用量を守ることは大前提ですが、抗生物質は、「ある特定の菌」に対して作用するもので、痛み止めや、かゆみ止めといった薬のように、身体の伝達機能に作用して効果を発揮するものではありません。

そのため、人によっては「身体の機能を操作するものではないから…」と安易に自己判断で用量を調節する人もいるようですが、正しく服用しなければ、大きな危険を伴うこともあります。特に、アルコールとの併用については、注意が必要です。

そこで、ここでは、抗生物質とアルコールの危険な関係について、詳しくご紹介いたします。

抗生物質について

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そもそも、抗生物質とはどのような薬なのでしょうか?よく耳にする言葉ほど、意外と深くまで知らないことが多いものです。改めて、抗生物質が、どのような作用をすることで効果をもたらしているのかを、見ていきましょう。

抗生物質とは?

抗生物質と聞いて、「抗菌薬」という言葉が浮かぶ人もいるのではないでしょうか?実際に、同じような作用を持ち、どちらも感染症の治療によく使われるこの2種類を、同じものとして捉えている人もいるようですが、厳密には異なります。

抗生物質とは、他の微生物の生息を阻害するために、「微生物が自ら生み出す化学物質」のことです。この化学物質の作用が、私たちの身体に侵入した病原菌を阻害してくれるため、感染症の治療などに使われているのです。

しかし、技術の発展によって、“微生物から”ではなく、“人工合成”によって、病原菌に作用する化学物質を生み出せるようになったため、「抗菌薬(合成抗菌薬)」という言葉が生まれました。

わかりやすく言うと、『抗菌薬』という大きな括りのなかに、「抗生物質」と「合成抗菌薬」が派生して存在しているような感じです。

「どちらの方が良い」といったことはなく、そのとき感染している細菌や、副作用等を考慮したうえで処方されます。

抗生物質を服用する際の注意点

どの薬にも、適切な用法・用量があるように、抗生物質の場合にもそれらがあります。たとえば、服用するタイミングにおいても、抗生物質の種類によって、食前(空腹時)の方が良い場合と、食後の方が効果的なものとがあります。

また、服用回数も、1日3回に分けて飲む方が良いものと、1日1回で飲む方が効果を発揮できるものもあります。一括りに「抗生物質」といっても、たくさん種類がありますので、医師に指示された用法を守りましょう。

さらに、症状が治まってきたように見えて、自己判断で服用をやめてしまう人もいるようですが、抗生物質は、最短期間の使用に抑えるための用法・用量が処方されていますので、処方された薬をきちんと飲みきることが大切です。

また、安易に常用すると、抗生物質に対する耐性菌が体内につくられるため、いざというときに効果を得られなくなってしまう可能性がありますので、気を付けましょう。

抗生物質の副作用

他の薬と同じように、抗生物質にも副作用が出る場合があります。抗生物質の種類によって、副作用も異なりますが、中でも、下痢は比較的多い副作用としてあげられているようです。

女性の場合は、腸内細菌のバランスが崩れることによって、カンジダ症になる可能性もあります。副作用が出た場合は、自分で判断せず、すぐに医師に相談しましょう。

また、ごくまれに、重度の副作用である「アナフィラキシーショック」を引き起こす可能性もあります。湿疹、または体や顔の皮膚が赤く浮腫むように腫れる、息が苦しいといった症状が出た場合は、救急車を呼ぶようにしてください。

抗生物質とアルコールを併用する危険性

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どのような薬においても、服用中の飲酒は控えたいものです。抗生物質の場合においても、やはり服用中の飲酒は避けた方が無難と言えるでしょう。さて、アルコールとの併用によって、どのような危険があるのか、早速見ていきましょう。

アルコールと併用する危険性①副作用を引き起こす

抗生物質とアルコールは、体内に入ると、どちらも肝臓で分解されます。つまり、同じ1つの臓器で、この2つが分解されるということです。

すると、肝臓はまず、アルコールから分解しようと作用するため、行き場を失った抗生物質は、高い濃度で体中を巡ることになります。

処方された時点では、肝臓できちんと分解されることを前提として、最短期間で服用するための処方がされていますので、アルコールを併用すると、「想定以上の量」の薬を飲んでいるのと同じことになります。

抗生物質の場合、体内での濃度が高くなると、頻脈や低血圧、あるいはアナフィラキシーショックを起こしてしまう可能性があります。特に、セフェム系の抗生物質の場合は、絶対に飲酒を控えるようにしてください。

それだけではなく、そもそも感染症の場合、アルコールによる血管拡張作用が、症状を悪化させる場合もありますので、どちらにせよ、アルコール摂取は避けた方が良さそうです。

アルコールと併用する危険性②アセトアルデヒドの増加

抗生物質の種類によって、アルコール代謝が遅くなるものもあります。アルコール代謝が遅くなると、血中のアルコールを、肝臓で分解する際に発生する「アセトアルデヒド」という代謝物質が増加します。

この物質は、吐き気などをもたらす、悪酔いや二日酔いの原因となる有害物質です。その結果、顔が赤くなることから始まり、呼吸が浅くなったり、血圧降下による不調などの「フラッシング反応」と呼ばれる様々な症状が引き起こされるのです。

飲み会が入ってしまったときは?

アルコールとの併用が危険なことがわかっていても、社会人の場合には、どうしても外せない飲み会があるといったケースもあるでしょう。断れる飲み会であれば、体調不良を理由に断りたいものですが、なかなかそうはいかない場合も多いのではないでしょうか?

出席するだけして、烏龍茶などで代用し、実際には飲まないというのがベストですが、せっかく出席するのにお酒を飲まないと、嫌な顔をされることもあります。

その場合、医師や薬剤師に、食後の服用でなくてはならないかという確認をしてみてください。というのも、1日3回に分けて服用する抗生物質の場合は、効果的な血中濃度を長時間継続させるために、「食後」というタイミングを『服用間隔を一定にするための目安』にしている場合もあります。

その場合、飲み会の日は、服用する時間を少しずらすなどの工夫で、多少の飲酒が可能になる場合もあります。服用している抗生物質が、どのようなタイプのものかを医師または薬剤師に確認し、その日のみ、という条件で服用時間をずらすというのも、方法の一つでしょう。

しかし、たしなむ程度にとどめ、くれぐれも飲みすぎにはならないよう、細心の注意を払っておきましょう。

アルコール併用が問題ない薬もある?

抗生物質の種類によっては、多少のアルコールであれば、併用しても問題ないと言われているものもあります。例えば、風邪や中耳炎、膀胱炎の際などに処方されるクラビットは、過去に、アルコールと併用して副作用が出たという人がいないと言われています。

他にも、咳やクラミジア、風邪などの炎症を抑えるときに処方されるクラリスも同様に、アルコールとの併用は、とくに問題はないと言われています。

しかし、クラリスは、長期に渡って服用していると、肝機能障害を引き起こす可能性があります。よって、長期服用している場合にアルコールと併用すると、血液障害や動悸などの症状が出ることがあるようです。

また、アルコールとの併用が問題ないとされている、これらの薬以外で、服用している薬がある場合は、話は別です。いずれの場合も、『これらの抗生物質のみ』を服用している場合、アルコールを摂取しても問題ないということですので、その点はしっかりと把握しておきましょう。

アルコール以外に注意するべき飲み合わせ

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アルコール以外にも、抗生物質を服用する際に気をつけるべき飲み合わせ(もしくは食べ合わせ)があるようです。薬の効果を最大限に引き出すためにも、以下の食品との併用はできるだけ避けるようにしましょう。

牛乳

抗生物質の種類によっては、牛乳と一緒に飲むと効果を発揮できないものがあります。牛乳の主成分であるカルシウムに含まれる金属成分は、ある種の抗生物質と強く結びつく性質があります。

金属成分と結合した抗生物質は、腸から吸収されず、そのまま便として体外に排出されるため、抗生物質の十分な効果を得られなくなってしまいます。

とくに、呼吸器感染症や、ニキビ菌などに処方されるテトラサイクリン、あるいは耳鼻科でも処方されるニューキノロン系の抗生物質の場合は、牛乳と一緒に飲むのは避けたほうが良いでしょう。

グレープフルーツ

私たちが服用した薬は、P450という酵素によって分解されています。しかし、グレープフルーツに含まれる成分は、このP450という酵素を消費するため、薬が十分に分解されなくなってしまいます。

その結果、薬が効きすぎたり、効かなかったりという効果の増減が見られます。効きすぎてしまう場合は、アルコールを併用した場合と同様に、血中濃度が高くなるわけですから、副作用を引き起こす可能性があります。

果実、果汁ともにグレープフルーツと抗生物質を一緒に摂ることは避けましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。その種類の多さから、私たちの様々な病気に対応してくれる抗生物質ですが、その効果を最大限に引き出すためにも、アルコールとの併用は、いずれの場合も避けたほうが良さそうです。

抗生物質に限らず、薬を服用する際には、多めの「お水」で飲むのが一番安心と言えるでしょう。

また、人とお酒を飲むというのは、とても楽しいもので、飲み会はコミュニケーションの一つであるとも言えます。しかし、抗生物質はダラダラと服用し続けるものではなく、「決まった期間」に集中して服用するものなので、ずっとお酒が飲めなくなるわけではありません。せめて、その期間中は飲酒を控えるよう、グッとこらえましょう。

  
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