ほとんどの人が知っている12星座の中でも天秤座は、正義と天文を司る女神アストライアーが持っている天秤に由来するとされています。このような由来から、天秤座の人の性格として、バランス感覚に優れる傾向があるとも言われます。
この天秤座のケースに代表される誕生日と12星座に基づく性格分析は、様々な媒体で特集されるなど、日本においてもある程度受け入れられています。
しかしながら、誕生日と星座を結び付けて、人間の性格や運勢を大きく12タイプに分類してしまう西洋占星術には、科学的合理性や科学的根拠に乏しいという批判も存在します。
そこで今回は、12星座と西洋占星術に関する基本知識を紐解きながら、天秤座の人の性格や恋愛傾向などを、ご紹介したいと思います。
12星座と西洋占星術の基本知識
1年365日を12等分して、そこに12星座を割り当てたものが12星座だということくらいは、多くの方がご存知でしょう。
しかしながら、いざ12星座と西洋占星術とは?と聞かれると、案外回答できない人が少なくありません。そこで、まずは12星座と西洋占星術に関する基本知識を確認していこうと思います。
12星座とは?
そもそも星座とは、夜空に確認できる複数の恒星(自ら光を放つ星・天体)の見かけ上の配置について、そこから連想される物の名称を人間が名付けたものです。星座は、古代エジプト、古代メソポタミア、古代ギリシア、古代中国など利用されていたとされ、それぞれ名称は異なるものの天体の配置を記した史料・遺物などが見つかっています。
そして、12星座は、古代メソポタミア文明に起源を求めることができるとされていて、太陽の見かけ上の通り道である黄道付近に配置があることから黄道十二星座とも呼ばれます。
ちなみに、12星座は、牡羊座・牡牛座・双子座・蟹座・獅子座・乙女座・天秤座・さそり座・射手座・山羊座・水瓶座・魚座です。
西洋占星術とは?
西洋占星術は星占いとも呼ばれ、詳しく分類していくとキリがありませんので端的に説明すると、星・天体の配列が地上の出来事に影響を与えるという前提の下に、人間の誕生日と星座を結び付けて、その人間の性格・性質や運勢・見通しを予測しようというものです。
西洋占星術も、星座と同様に古代エジプト・古代メソポタミア・古代ギリシアなどに起源があるとされ、天文学の発達による星座の概念の誕生とともに占星術も生まれています。その後、様々な概念を取り入れて徐々に体系化されていき、現在の西洋占星術ではホロスコープという占い専用の天体配置図を用いることが一般的となっています。
ちなみに、タロット占いは、中性ヨーロッパで主にカードゲームとして生まれ、16世紀に木版画による量産が可能になると特にギャンブルに用いられていました。その後、18世紀フランスにおいて、タロット占いが流行し12星座の占星術の要素を取り込み体系化されていきます。ですから、タロット占いと西洋占星術は、その起源からして全くの別物と言えます。
西洋占星術の科学的合理性について
このように12星座と西洋占星術は、非常に古い起源を持ち、時代の進展とともに体系化されてきたものです。
しかしながら、誕生日と星座を結び付けて、その人間の性格・性質や運勢・見通しを予測しようとする西洋占星術には、科学的合理性や科学的根拠に乏しいという批判も存在します。そこで、西洋占星術の科学的合理性について、ご紹介したいと思います。
西洋占星術は疑似科学
西洋占星術に対しては、現代に至る以前から、合理性の無さについて批判もされてきました。
すなわち、古代から中世・近世ヨーロッパに至るまで、身分に差が生じる階級社会であったにもかかわらず、ほとんど同じ場所かつ同じ時刻に誕生した人が、一方は貴族で他方が使用人となることに説明がつかないというものです。というのも、ほとんど同じ場所かつ同じ時刻に誕生した人は、西洋占星術においては同じホロスコープ・天体配置図を有するはずであり、人間の性格・性質や運勢・見通しに差が生じるのは不合理だからです。
また、西洋占星術は全ての星・天体が地球の周囲をまわっているという天動説に理論的根拠を求めるため、コペルニクスが現代の自然科学につながる地動説を唱えて以降は、占星術は自然科学との整合性が無いと言われ、その理論的根拠と理論体系に疑義が呈されています。
さらには、西洋占星術は統計学のような客観性や実証性を重要視することもなく、逆に様々な統計学的調査によって、西洋占星術そのものに対して妥当性が存在しないとまで言われています。
このように特に近代以降の科学技術の発展よって理論的根拠となる天動説自体が否定され、また統計学の発達によって占い結果の信頼性についても客観的・実証的に否定される状況になり、現在の西洋占星術は疑似科学であるという見方が支配的になっています。実際に1990年代になって、アメリカのある新聞では占星術のコーナーで「科学的根拠がない」という但し書きを付すようになっています。
西洋占星術における星座と守護星の関係
西洋占星術においては、各星座を支配すると考える惑星が設定されていて、これを守護惑星・守護星と言います。
望遠鏡が開発されるまでは、肉眼で確認できる太陽・月・水星・金星・地球・火星・木星・土星の8つの惑星が、1つあるいは2つの星座を支配するとされていました。しかしながら、望遠鏡が開発され天王星・海王星・冥王星が発見されると、自然科学に寄せるように天王星・海王星・冥王星も守護星に加えられ、守護星が支配する星座についても割り振りが見直されています。
このような理論的変遷は、ある意味で無理矢理こじつけをしているようにも見れることから、西洋占星術が疑似科学だという理由の一つに挙げられます。
西洋占星術の社会的役割
このように天文学など自然科学との関係性が明確に否定されるに及んで、現代の占星術家は科学との関係性を強調することはなく、むしろ歴史的・文化的な側面を前面に押し出しています。
実際に、新聞・雑誌・テレビ番組などに占星術・星占いのコーナーが設けられるなど、西洋占星術は現代社会の中に一つの文化として完全に溶け込んでいます。これは言い換えると、西洋占星術がたとえ疑似科学であっても、社会的に一定の需要があるからこそ、様々なメディア媒体で占星術・占いのコーナーが設けられているとも言えます。
では、なぜ西洋占星術が疑似科学であっても社会で需要があるのかと言うと、心理学における「認知的節約」という用語によって説明されます。つまり、人間の脳は非常の多くの情報処理をする必要がある一方で、脳の認知能力(物事に対する注意力・集中力、記憶力、思考力など)には限界があるために、脳は必要以上の認知能力を節約しようとする傾向があるのです。
例えば、朝のテレビ番組の占いコーナーで「ラッキーカラーはブルー」と放送されると、出かける際の装いについて思考することなく青い装飾品を身につけようと決定することができます。また、文字を綺麗に書く人は賢いだろうと思ってしまうことも、認知的節約によるものとされます。
このような認知的節約は、誤解や詐欺などの要因にもなりかねません。しかしながら、情報化社会の進展により脳には大きな負荷がかかっており、認知的節約につながる占いは、考え過ぎずに済むという点で脳や精神の安定に資する面もあるのです。ですから、西洋占星術にも、一定の社会的役割が存在すると言えるでしょう。
天秤座の人に見られる性格の傾向
このような西洋占星術における基本知識などを踏まえて、天秤座の人の性格や恋愛傾向などについて、ご紹介しようと思います。
この点、脳の認知的節約による効果を受け止めようと考えれば西洋占星術に基づく性格分析を信じれば良いと思いますし、西洋占星術は疑似科学に過ぎないと考えれば西洋占星術に基づく性格分析など信じなければ良いのです。やや無責任な言い方にはなりますが、信じるも信じないも、あなた次第であるということに留意して読み進めてください。
天秤座の人の性格
天秤座は、正義と天文を司る女神アストライアーが持っている天秤に由来するとされています。このような由来から、天秤座の人の性格として、バランス感覚に優れる傾向があるとされています。
バランス感覚に優れるために、天秤座の人は争いを好まず、良く言えば協調性があり、悪く言えば自分の主張を貫くことよりも妥協を選びます。一言で表現するならば、平和主義者・平等主義者であり、事なかれ主義者でもあります。
それゆえ、天秤座の人が感情を表立って表したり、個人主義に走るようなことはなく、自分から相手との諍いを招くような行動はしない傾向にあります。このような平和主義的・平等主義的な性格は、周囲の関係性や物事を良く観察するような行動として現れ、他人同士の仲を取り持ったり、その場の空気を読んで雰囲気を明るくしようとします。結果として天秤座の人は、人あたりが良く社交性があって広い交友関係を持ち、しかもその多くの人と良い人間関係を築くに至ります。仕事面でも、バランス感覚を生かして調整役を担ったりするので、組織に欠かせないタイプとなります。
しかしながら、このような良い部分も、反対から見るとマイナスな側面があります。周りの人が天秤座の人を見ると、多くの友人関係を大事にするために、いわゆる八方美人と受け止めることがあります。また、仕事面では、一つの仕事を深く掘り下げて追求するような仕事には向いてないかもしれません。
このように天秤座の人の性格的特徴は、良くも悪くもバランスというキーワードに集約されるのです。
天秤座の人の恋愛傾向
このような天秤座の人のバランス感覚は、自分自身の恋愛関係・恋愛観にも反映されます。
天秤座の人は、そのバランス感覚から恋愛と結婚をイコールと考えるような偏りはありませんので、恋愛には比較的早熟で周囲に比べても早期に男性女性のお付き合いを開始する傾向にあるようです。しかしながら、やはりバランス感覚によって、異性の恋人・パートナーが既婚者で不倫となるような恋愛に至ることは少なく、また恋人・パートナーを裏切るような浮気に走ることも少ないようです。
天秤座の人は、そのバランス感覚から人あたりが良く、基本的に異性にモテる人気者です。それゆえ、異性とのコミュニケーションにおいても、雰囲気づくりや会話の内容やテンポに配慮が存在するほか、押したり引いたりの駆け引き・判断力にも長けています。
一方で、恋愛にのめり込むあまりに、仕事や学業などがおろそかになってはいけないというバランス判断がはたらくために、日常生活のバランスを崩すほど恋人・パートナーとの間に時間を割くこともありません。このような判断が、もしかすると相手の気持ちに不満を生じさせることになるかもしれません。
天秤座の人のファッション感覚
天秤座の守護星は、金星とされています。その金星を司るのが、女神ヴィーナスです。女神ヴィーナスは、ギリシア神話などにおいて「愛」や「美しさ」の象徴されています。
そのような所から、天秤座の人はファッションセンスや美的感覚に優れていると言われます。とはいえ、奇抜で最先端なファッションを追い求めるのではなく、天秤座の人の特徴であるバランス感覚に沿ったファッションが中心となります。
すなわち、基本的にコンサバでやや保守的なファッションでありながら、所々に流行を取り入れることでオシャレに着こなすのです。このような美的センスであるがゆえに、周囲のあらゆる層の人から嫌われることもなく、天秤座の人は好感を得られるのです。
天秤座の人の金銭感覚
天秤座の人の性格の特徴のキーワードは、何度も繰り返しますがバランスです。それは金銭感覚においても同様です。
天秤座の人は、そのバランス感覚によって、大きな買い物をすることもありますが、それによって身を持ち崩すようなことにはなりません。つまり、大きな買い物であっても必要だと十分に検討してから購入しているのであり、その背後には生活に必要な資金の手当てなどの資金計画が存在するのです。
別の言い方をすれば、天秤座の人は優れたバランス感覚を有するからこそ、金銭的には非常に現実的でシビアな側面を持ち合わせているとも言えるでしょう。
天秤座の人の性格が似てくる?
このように西洋占星術に基づく性格分析によると、天秤座の人は非常にバランス感覚に優れているとされています。もちろん、西洋占星術を信じる人もいれば、西洋占星術は疑似科学だから信じないという人もいるでしょう。
ただし、疑似科学とされる西洋占星術を信じるとするならば、天秤座の人同士の性格が似てくる可能性があると指摘されています。そこで、天秤座の人の性格が似てくる可能性について、その科学的根拠をご紹介したいと思います。
プラシーボ効果
前述のように西洋占星術は疑似科学であって、その依拠する天動説自体が現在の自然科学においては誤りであるとされます。そのため、西洋占星術に基づく性格分析にも、妥当性がないようにも思えます。
しかしながら、プラシーボ効果によって、いわば噓から出た実(まこと)となる可能性が否定できないのです。プラシーボ効果とは、例えば、何の薬効効果も無い砂糖の塊を、薬だと説明して服用させると、患者は薬だと信じているので脳の自己治癒能力が引き出されて、本来の薬に似た改善効果が得られることがあるという現象のことです。
ですから、西洋占星術を信じることによって、天秤座の人が西洋占星術基づく性格だと自分で思い込むことで、実際にそのような性格に似ていく可能性があるのです。
占いが当たるように見える心理効果
このようなプラシーボ効果と同じように、西洋占星術などをはじめとする占いが当たるように見えるのには、いくつかの心理効果が存在するからです。それが、バーナム効果・確証バイアス・予言の自己成就です。
バーナム効果
バーナム効果は、誰にでも当てはまるような抽象的で曖昧な占い結果や性格分析を示すことで、占ってもらった人が勝手に自分だけに当てはまると錯覚してしまう心理学上の現象のことです。
例えば、「あなたは明るく振る舞っていますが、いつも不安が心に宿っています」と占い師に言われると、当たっていると感じてしまうようなケースです。
確証バイアス
確証バイアスとは、自分の先入観に基づいた自分に都合の良い事実・情報のみを集めて、自分に都合の悪い事実・情報は無視してしまう心理的な現象のことです。
例えば、この占い師は良く当たるという先入観があれば、バーナム効果によって当たっていると感じる情報だけが印象に残り、それ以外の情報は印象に残らないのです。
予言の自己成就
予言の自己成就とは、根拠が希薄な占い・予言・噂であっても、人がその占い・予言・噂を信じて、その信心に基づいて行動すると、結果的に占い通り・予言通り・噂通りのことが現実に起きるという現象のことです。
有名な例えとして、銀行が倒産しそうだという噂が広まり、噂を信じて人々が預金を引き出すことで、現実に銀行が資金不足となって倒産してしまうケースが挙げられます。
まとめ
いかがでしたか?12星座と西洋占星術に関する基本知識や、天秤座の人の性格や恋愛傾向などについて、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、今回の天秤座のケースに代表される誕生日と12星座に基づく西洋占星術の性格分析は、様々な媒体で特集されるなど、日本においてもある程度受け入れられています。
しかしながら、誕生日と星座を結び付けて、人間の性格や運勢を大きく12タイプに分類してしまう西洋占星術には、科学的合理性や科学的根拠に乏しいという批判も存在します。
このような事態は、例えばA型女性・B型女性・O型女性・AB型女性の4類型に分類してしまう血液型占いでも見られます。要するに、占いの結果を活かすも殺すも、それは自分次第なのであって、自分なりの方法で相性の良い異性を探したり、行動していくことが大切だと言えるでしょう。