髄膜炎の後遺症について!大人と子供で違うの?

髄膜炎といってすぐに馴染みのある病名だ、という方は少ないのではないでしょうか?風邪の場合、こないだ風邪引いちゃったなどと普通に雑談することもあるでしょうが、こないだ髄膜炎になっちゃってさ、と言ったら「何それ?」と聞かれてしまいますね。

今回はこの髄膜炎の原因と後遺症についてお話したいと思います。髄膜炎になる方は多くはないでしょうが、後で説明させていただく後遺症が深刻なので、知っておいて損はないと思いますよ!

そもそも髄膜炎ってどんな病気?

菌

まずは、髄膜炎について知っておきましょう。

髄膜炎の感染経路は大きく2つある

髄膜炎とは、異物(細菌であったり病気であったり)が脳内の髄液まで入り込んで炎症を起こしてしまう病気です。

脳内という時点で恐ろしい病気といえるのですが、実際恐ろしい病気と言えます。この恐ろしい髄膜炎になってしまう感染経路は、多数報告されています。これらを原因別に分類していくと以下のようなパターンに類型化することが可能です。

  1. 外部の異物が脳内に入って発症するパターン→細菌性髄膜炎・薬品性髄膜炎
  2. ある病気になってしまったときに合併症として発症するパターン→結核性髄膜炎・梅毒性髄膜炎

なんとなくのイメージですが、1の方が原因としては多そうですよね?実際はどうなんでしょうか。

最も多いのが細菌性髄膜炎

数ある髄膜炎の感染原因のうち、最も多いのは細菌性髄膜炎です。最も多いということは、最もかかってしまう場合が多いということです。この細菌性髄膜炎になってしまった場合、どのような状態になってしまうのか、症状まとめをしてみました。

メインとなる症状としては、発熱、頭痛、意識混濁、痙攣などが挙げられます。頭痛発熱は仕方がないとしても、意識混濁はかなり深刻な症状であるといえます。重症になってしまった場合、夢遊病のように徘徊をしてしまったりと、かなり危険な状態であると言えます。

細菌性髄膜炎以外の髄膜炎でも症状は同様のものが確認されていますが、意識混濁が特に危険視されることが多いようです。

ちなみに、細菌性髄膜炎といっても、細菌は非常に多くあります。参考までに大人の原因となる細菌は、肺炎球菌であるとの報告があります。これに対して新生児ははじめは大腸菌、その後段々と肺炎球菌が原因になると言われております。

子どもの髄膜炎の場合、菌がいっぱいの母体の外に出ることで、様々な菌に触れることになるのですが、その過程で当たり所が悪いと髄膜炎になってしまうということです。

髄膜炎にかかってしまったら

当たり前のことですが、病院で適切な治療を受けることです。細菌性の髄膜炎の場合は、病原菌を特定する前に、抗菌注射の投与で髄液から菌を排除してしまいます。他の原因の場合は、同じく抗菌剤を使用する場合もあれば、注射で症状の改善を図る場合もあります。

いずれにしても長期間放置してしまうと、菌が脳内を蝕んでしまい、非常に危険な状態に陥ることもありうるため、専門医に受信し、すぐに治療を開始してもらうようにしなければなりません。

内科か小児科で、頭痛がする、発熱がする、意識が朦朧としているなどその時点での症状をしっかりと伝えることが重要です。医師は総合的に見て、患者がどの病気なのかを診断しますので、例えば意識混濁を伝えなかった場合、インフルエンザをその症状から疑うことになってしまいます。

診断は、まずかかりそうな病気から珍しい病気へと移行することが通常ですので、症状を全て伝えて、まずかかりそうな病気(インフルエンザの場合、頭痛発熱が診断の際のチェック項目です)を早期に弾いてもらうことで、病気の早期特定につながります。

早期特定ができ、適切な治療が行われた場合、重篤な後遺症が残ることは少ないと言われています。逆に発見まで時間がかかり、治療が不十分だった場合、重篤な後遺症が残ってしまう可能性は高くなってしまうということになります。

本当に怖い!髄膜炎の後遺症

注射

それでは実際に髄膜炎で残ってしまう可能性のある後遺症には、どのようなものがあるのかを見ていきたいと思います。

大人は認知障害、子どもは知能障害の危険

概ね、大人の約20%の患者が後遺症を発症すると言われています。大人の場合、認知性脳障害、難聴、片麻痺といった後遺症が発症しやすく、子どもの場合は、脳腫瘍、難聴、知能障害が発症しやすいと言われています。もちろんこれがすべての後遺症ではありませんので、患者さんご自身によって症状は異なります。

いずれにしても、後遺症が発症してしまった場合、かなり深刻な症状が並んでいますね。このことは、髄膜炎という病気がいかに危険かということの現れであるといえます。

例えば認知性脳障害を患わってしまった場合、記憶欠如、記憶障害などが起こりうるということになりますが、これは痴呆症と症状が近い場合もあると言われています。若年性アルツハイマーと比較するとそれに近しい症状を起こしてしまう可能性があると言えます。

これらの後遺症は、早期発見、早期治療が実施された場合、発症の可能性は低くなるのですが、発見が遅れて満足な治療が受けられなかった場合は、後遺症自体の発症率も高まります。

このため初期の段階でいかに早期に髄膜炎を発見してもらうか、が後遺症軽減のための必要事項だと言っても過言ではないでしょう。

一番重大な副作用→死亡率も高い

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ここまでの統計は、生存した場合に確認された後遺症です。生存された場合にこのような症状が発生しましたということですね。後遺症という位置づけでよいのか、という議論はあるかと思いますが、一番重篤なケースは、その病気で死亡してしまった、ということではないでしょうか?

生きていれば副作用が残ってしまっても、リハビリ、行動療法と最新の医学で症状が改善することはありえます。ところが死亡してしまったら改善も何もありません。このため髄膜炎に限らず最も重篤な後遺症は、「その病気による死亡率」であると思います。

大人の場合、発症者の約20%、子どもの場合発症者の約5%が髄膜炎の致死率であると言われています。

免疫力がない子どもの致死率が低いのは意外に感じる方もおられるでしょうが、子どもの場合ある程度感染源を特定した上での治療が行えることが致死率減少につながっています。大人の場合感染経路は多岐にわたりますので、それだけ治療を行う前に原因検査に要する時間がかかってしまうということでしょう。

大人の致死率は、今の日本でかかる可能性のある病気の中では高いほうだと言えます。5人に1人は死亡してしまうということは、死亡率が高いと言えるでしょう。

このように、髄膜炎の後遺症を考えた場合、死亡リスクと生存した場合でも後遺症が残るリスクを考え合わせた場合、この病気は相当危険な病気であると言えるでしょう。

髄膜炎の予防方法はないの?

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髄膜炎を予防方法はあるのでしょうか?

髄膜炎には「予防接種」がある

髄膜炎という病気の危険性は、お分かりいただけたかと思います。もちろん病気にかからないことが一番好ましいのですが、かかってしまっても早期発見と適切な治療を受けることでリスクを減らすことが可能であるとお話しました。

ですが、できれば病気になる「前」になんとかしておきたいと考える方も多いでしょう。

この場合、確実な方法としては「予防接種」を受けることです。子どもの場合、ヒグワクチンというものと、小児肺炎球菌ワクチンの接種をおすすめします。大人の場合、菌髄膜炎ワクチンを接種することで、髄膜炎の予防を図ることができます。

予防接種を怠ったばかりに後遺症が残ってしまった、とか症状が悪化して死亡してしまったという不幸な事態に陥らないように、可能であればワクチンを予防接種で受けておくことをおすすめします。

体が資本、ではないですが、後遺症が残ってしまった場合日常生活にも、仕事にも支障が出てしまうことが予測されるため、滅多にかからない病気とはいえなるべく予防接種を受けて、症状が悪化しないようにすることが重要です。

大人の予防接種でも、10000円ほどで接種可能ですので、病気にかかったリスクと比べた場合、比較的手頃な価格でのワクチン接種が可能であると言えます。

機会があれば、髄膜炎ワクチンの接種を考えてみてはいかがでしょうか?

まとめ

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健康に生活していくには、病気になったら治療を受けるということは、多くの方が行っているでしょう。これに対して、予防医学ともいうのですが、病気にならないように、なっても軽症で済むようにという考えで行われる医療行為は、病気の治療ではなく病気の予防に重点を置いているものといえます。

私たちは、病気にかかっている時はもちろん、病気にかかってない時も、治療のことを医療だと考えているでしょう。

ただ実際には医療を受ける際に、症状が既に重くなってしまい、適切な処置ができなかったということもありますので、普段から予防医学に目を向けて、自分の健康は自分で守るというように考え方を変えてみるのもいいと思います。

髄膜炎の例では、治療を行っても5人に1人は死亡してしまい、生存者のやはり5人に1人には重篤な後遺症が現れると言われています。この病気自体にかからないようにできれば、こういった後遺症リスクなどは負わなくともよくなる場合があります。

病気を治してもらうというこれまでの医療に対する接し方から、病気になりにくいように体のコントロールをしてもらうようにすることで、髄膜炎のような重篤な後遺症をできる限り回避することができ、結果として健康寿命が延ばしていくことができるでしょう。

後遺症のない生活を送ることがきでる生活は、医学的に言えば、「QOL」(=人生の質)が高いということにもつながりますので、髄膜炎の怖さももちろんですが、ご自身のライフサイクルと健康な生活設計を考えるのであれば、治療メインから予防メインへの転換を検討されてみるのも、いいことだと思います。

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