肝血管腫について!原因や治療方法を紹介!

医師に「肝臓に腫瘍ができています」と言われると、とても心配になると思います。しかしそれが「肝血管腫」であれば、「しばらく経過観察しましょう」と言われます。そのまま放置されることもあります。

肝血管腫は良性の腫瘍になりますが、しかし肝血管腫の症状は「肝がん」と似ているところがあります。つまり、「肝がんではない」という見極めが重要です。原因と治療法だけでなく、検査方法と診断について知っておくと「要らぬ心配」をしないで済みます。

肝血管腫が発生してしまった場合の症状や、この病気に似ている悪性の腫瘍の症状、また肝血管腫でも問題となる症状や手術しなくてはいけない場合の問題についても知っておきましょう。

また最後には肝血管腫になりやすい人などについての豆知識情報も合わせて紹介していきますので、なりやすい人の条件を生活習慣から排除して、病気の進行や発生、再発を予防していきましょう。

今日は肝血管腫についての記事を紹介していきます。是非参考にしてみてください。

肝血管腫の症状

レーザー治療

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。良性の肝血管腫どころか、悪性の肝がんですら、自覚症状はなかなか現れません。肝臓には、異常を知らせる「痛みというアラーム」が備わっていないからです。

極細の針が0.1ミリでも刺されば痛みを感じる「皮膚」と比べると、肝臓は相当「痛みに鈍感」なのです。

それでは、どうやって肝血管腫が見つかるのでしょうか。実は、偶然見つかることが多いのです。例えば「膀胱炎の超音波検査をしているときに、医師が念のため、肝臓にも超音波を当てたら腫瘍があった」というふうに見つかるようです。

異常が発生しやすい臓器

肝臓の働きのひとつに、体内の毒素を無毒にする「解毒」作用があります。肝臓には大きな3本の血管がつながっています。うち2本は、肝臓に血液を送り込む血管です。残りの1本は、肝臓内の血液を外に流す血管です。毒素は、血液に乗って肝臓に運ばれ、解毒された血液が肝臓の外に出ていくのです。

つまり肝臓には、毒素を含む「いろいろなもの」が運ばれてくるのです。なので、肝臓は異常が発生しやすいと考えられています。肝血管腫のほかにも、「肝細胞腺腫」「胆管嚢胞腺腫」「血管筋脂肪腫」といった名称の病気があります。ところがこれらは、いずれも良性であることが多いのです。

肝臓は「良性であろうと悪性であろうと、とにかく病気が多い」と覚えておいてください。

引き起こる可能性のある自覚症状

恐らく肝血管腫の病気の症状によって引き起こる自覚症状で、その症状が肝血管腫によって引き起こされていると気づく人は居ないでしょう。

もし体の肝臓に肝血管腫が発生していたときの症状が発生してしまう場合、軽い貧血や腹痛などの症状が引き起こる場合があります。しかし、基本的に自覚症状の無い事が肝臓の病気の特徴なので、この様な症状が引き起こっている場合は肝臓の病気はかなり状態が悪化し、進行していることが多いでしょう。

貧血や腹痛が引き起こってしまう原因としては、腫瘍が発生することで周囲の血管や管などを圧迫してしまい、血流が回らなくなってしまうことや腹部を圧迫してしまうことが原因ではないかと推測されます。

もし長期的に原因不明の貧血や腹痛などの症状が続いている場合は早めに病院での精密検査を受けるようにしましょう。更に他の臓器へ問題を引き起こしてしまう可能性もあります。

総合病院などの設備の整った大きな病院でもいいですが、肝臓は消化器官でもありますので消化器内科や消化器外科などの専門医がいるところでの検査が好ましいでしょう。

なるべく早期に発見して進行を食い止めながら経過を見ることが重要になります。慢性化している症状を放置しないように注意しましょう。

転移はしない

悪性腫瘍と違い基本的に良性の腫瘍は転移性のものではないので、血液やリンパなどに乗って腫瘍細胞などが他の臓器にまで影響を及ぼし転移してしまうことはありません。

経過観察の間に転移してしまう危険性はないので安心して生活習慣を整えながら病気の症状などに変化がないか専門家と一緒に確認していきましょう。

肝血管腫の検査

検査20

肝血管腫は「腫瘍」という「できもの」ができる病気です。そのできものは、毛細血管が異常に増えてできます。実はこの血管腫と言うのは体の中に無数に存在していて基本的には悪さをするようなものではありません。

ホクロの様な物で細かいものまでカウントすればたくさん見つかります。しかし良性のものは特に問題に繋がるケースが少ないことから神経質にならなくても良いものになります。

そんな肝血管腫が発見される検査方法にはどのようなものがあるのかを知っておきましょう。

超音波検査

検査は、まずは超音波検査をします。超音波検査はエコー検査とも呼ばれる一般的な検査方法になります。体へのデメリットとなる負担がまったくなく行える為、妊婦のお腹の中の赤ちゃんの状態などを検査するためにも使われる検査方法になります。

超音波を腹部などの検査を行いたい患部に当ててその反射で帰ってきた超音波の波長を調べることで中の状態を画像化し異常が無いか確認する画像検査法になります。

行われる腹部超音波検査(腹部エコー検査)で発見される病気としては肝臓がんや胆石症などの病気の発見に有効な検査方法でもあります。

日本での病院での検査などで行われるX線検査などでの内部被曝ががんを引き起こしているという危険性がささやかれている中、この検査では被爆の危険性が全く無いので安全性の高いものなのでこの検査で確認されて問題がない場合はX線検査などを行わなくて済むメリットがあります。

この検査で見ることが出来る臓器は多岐にわたり、肝臓の他にも腎臓、膵臓、膀胱、胆嚢、前立腺などの臓器を検査することが出来ます。さらに近年では機械の進歩により食道、腸、胃についても検査が可能になています。

MRI検査

次に、より詳しい画像が得られるMRI検査をします。MRIで診断が確定することがほとんどです。しかし、CTでの検査が主流になっている医師も存在するのでこの検査方法に慣れていなかったり、画像からの病巣の確認が不慣れな医師も存在します。

なので場合によってはMIRはあまり行わないという病院もあるでしょう。

MRIは磁石から放射される強力な磁気により電波と磁気の力により体内の水素原子を揺さぶり画像にして検査を行うものです。鮮明に画像に起こして体内の様子を確認できるので有効な検査方法になります。特に脳や脊髄、関節などの部位の検査に特化しています。検査時間は若干長く30分程の時間が必要になります。

この検査も磁気により検査を行うので内部被曝の問題が引き起こらない事もメリットとしてあります。しかし、一部の患者ではこの検査が行えない場合もあります。それは、体の中に過去の病気や怪我などで金属製の何かを装着していたり、心臓にペースメーカーなどを装着している人になります。体内の金属が移動してしまったり、補助装置に異常が生じてしまう可能性があるためにこの検査が行なえません。

検査結果での対応

そし検査の結果

①患者に肝炎や肝硬変がなく
②腫瘍の大きさが3センチ以下で
③その腫瘍が肝臓の表面に突出していなくて
④自覚症状がない場合

医師はなんの処置もしません。医師は患者に「肝血管腫です。経過観察をして、3カ月後に再検査しましょう」と言うだけです。

この結果で不安に感じてしまう人も多く居ますが、基本的にこの問題は高い確率で発生することのある問題でもあります。良性腫瘍として認識されていて、特に直ちに問題となる症状を引き起こすわけでもありません。

過去にも病状が急変する事例は報告されておらず、肝血管腫が発生している状態で人生をまっとうする人も多く居ます。実際には手術での負担の方が大きくなってしまうので、腫瘍が小さく症状が出ていない場合は基本的には経過観察となりますので不安視しすぎないようにしましょう。

CT検査

先ほど、「肝血管腫の検査は、超音波とMRI」といいました。実はもうひとつ検査方法があります。それはCT検査です。しかし、医師によっては「肝血管腫の診断において、CT検査は極力避けた方がよい」といいます。それは、CTはX線を使うので放射線被ばくのリスクがあるからです。

しかも、肝血管腫のCT検査では、事前に造影剤を体内に投与しなければならないのですが、この造影剤に強いアレルギー反応を起こす人がいるのです。

超音波もMRIもX線は使いませんので、体に優しい検査といえます。肝臓にできた腫瘍の大きさが分かり、「肝血管腫である」「良性である」と判断できればいいので、「CT検査は不要」という医師は、「超音波とMRIで十分」と考えるのです。

しかし、別の医者は「CTによる被ばく量は健康上、大きな問題にならない。確実に肝血管腫と診断するためには、造影剤を使ったCT検査をすべきだ」といいます。このように、医者でも意見が分かれているので、一般の方が「CTをすべきかどうか」を判断することは大変難しいです。医師の説明を聞き、納得してから「CTを受ける」「受けない」を決めてください。

また、MRIでの画像検査について明るくない慣れていない経験の浅い医師も存在します。そのような場合に、医師にCTではなくMRIでの検査を求めても、病気の発見確率が下がってしまう事もあります。その場合には無理にMRIでの検査をしても特にメリットはないでしょう。

もし内部被曝について問題視するのであれば、MRIに特化している病院などを探したほうが良いでしょう。

「経過観察」について

しかしこのシチュエーションは、患者をかなり不安にさせます。インターネットの病気質問サイトでも、肝血管腫と診断された方が、「医者に良性と言われたが、心配だ。腫瘍なら取り除いてほしい」と心配する声が多く寄せられています。

しかし肝血管腫の診断がくだり、患者に「経過観察」と伝えることは、医師たちでつくる「学会」で定めたことなのです。

ある医師はこう言っています。「経過観察とは『治療しない』のではなく、『治療そのもの』です。なんの処置もしないで3カ月が経過して、肝血管腫が『変化したか』『変化しないか』を知ることは、治療方法を決める重要な情報なのです」

これらの不安に思ってしまうことについては医師がしっかり患者に説明が行き届かず不安になさせてしまっていることも問題かと思いますが、患者側もしっかり医師との信頼性を確保できるように質問だ事項などを予め決めて置いてしっかり聞きたいことを聞くようにしましょう。

判断が難しい「3センチ」

「経過観察」を経て、3カ月後にもう一度同じ検査をして、肝血管腫が大きくなっていなければ、「問題なし」となります。つまり、そのまま放置されるそうです。肝血管腫で治療を開始するケースは次の場合です。

多くの肝血管腫は、4センチ以下で成長が止まるのですが、中には10センチに成長するものもあります。30センチの肝血管腫が見つかったという報告もあります。

また、通常の肝血管腫は1カ所ですが、1つの肝臓に複数個の肝血管腫が見つかることがあるそうです。

こうした状態になると、さすがの「沈黙の臓器」も悲鳴を上げます。お腹が圧迫されている感じがしたり、不定愁訴が起きたりします。黄疸が出ることもあります。

大きさがちょうど3センチのとき、医師は、治療をするか経過観察を継続するかでかなり悩むといいます。肝臓は人の生死に大きく関わる臓器なので、肝血管腫という良性の腫瘍のためにメスを入れたくないのです。

肝血管腫の治療

治療

肝血管腫の治療方法を紹介します。もし、血管腫が大きくなって切除が必要になった場合はどのような方法で病気を治療するのかを紹介していきます。

切除が基本

肝血管腫が4センチ以上になってしまうと、破裂したり、別の病気を発症する危険があるため、手術によって腫瘍を切除することがあります。切除以外の治療法は「冠動脈塞栓術」です。肝臓に流れ込む血液を止めてしまいます。そのほか、放射線治療を行う医療機関もあります。

肝血管腫の死亡例

肝血管腫が破裂することはまれです。しかし、ある調査では、破裂した14名の患者のうち、2名が亡くなりました。そのほかの12名は、冠動脈塞栓術と手術による切除で生存できたそうです。

狙いは肝がん

治療法

「肝臓に腫瘍ができる」という点で、肝血管腫と肝がんは同じです。しかし、治療は真逆といえます。肝血管腫は「放置」、肝がんは「手術」です。

肝血管腫が肝がんに移行することはないと考えられています。ですので、「肝血管腫である」と確定させることは、「肝がんではない」ことを確定するでもあるのです。

肝炎と肝硬変

医療従事者でないと、「その腫瘍が悪性かどうかは、細胞を採取して顕微鏡で見なければ分からないのではないか」と思ってしまいますが、それ以外の「見分け方」があります。肝臓の細胞を採取することは、体への負担が大きいので、「それ以外の見分け方」も確実であれば、そちらの方がメリットが大きいのです。

まず、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎や、アルコール性肝硬変など、肝臓の重い病気を持っている人に対しては、腫瘍が3センチ以下であっても医師は肝がんの可能性を考えます。

肝がんは発育が早いので、再検査のときに腫瘍が大きくなっていれば、やはり肝がんを疑います。肝血管腫は、一般的には大きくなりません。

肝がんかどうかは、血液検査でもある程度判定できます。「腫瘍マーカー」という言葉を聞いたことがあると思います。腫瘍マーカーは、がんの種類ごとに異なります。「このがんができると、血液中の『この成分』が増える」という現象を、がん判定に使っているのです。肝がんの場合、血液中の「この成分」は「AFP」といいます。肝がんが疑われた場合、血液を採取してAFPの量を調べるのです。

肝血管腫になりやすい人

入院治療

肝血管腫の原因は、生まれながらの血管異常が関与していると考えられています。女性に多く見られ、女性の患者数は、男性の4.5倍から6倍です。そして女性の中でも、40歳以上になると、急速に増えます。

ある医療機関で、一定期間、調査したところ、肝血管腫の患者が11名いました。うち8人が女性で、その中の3名は、以前に卵巣を摘出していたそうです。また別の調査では、出産後の女性に肝血管腫が多く発生していることが分かりました。こうしたことから、性ホルモンの関与が疑われています。

なので女性ホルモンを整える為の生活習慣や食生活を行っていきましょう。

まとめ

肝臓は難しい臓器です。解毒のほかに、たんぱくの合成やエネルギーの蓄積などを行っています。また、肝臓は少しぐらい欠けても再生する力を持っているのに、一定量以上欠けると再生しません。大きな血管が通っていることも、治療を難しくしています。

なので「肝臓の専門医」がいるくらいです。肝臓の病気について知ることは、健康を維持する上でとても重要であることは間違いなさそうです。

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