脳震盪の後遺症について紹介!子供の場合は要注意!

スポーツや転倒事故などで「脳震盪(のうしんとう)」という言葉を聞くことがあります。脳震盪を起こすと後が怖い、心配になる、と耳にしたことはありませんか?

脳震盪には後遺症が出ることもあり、正しい対処をしないと最悪の場合死に至ることもある、とてもデリケートな症状です。

ここでは、脳震盪はどんなもので、後遺症にはどのようなものがあるのか、正しい対処法、などをご紹介していきます。

脳震盪とは

脳震盪ー1

脳震盪とは、外傷や転倒などで頭部が打撃を受け、脳が激しく揺さぶられて一時的に起こる脳の機能障害のことです。

ボクシング、アメリカンフットボール、ラグビーなどの、体の衝突や衝撃を避けられないスポーツなどでよく起こります。また、スポーツだけはでなく、日常生活で転倒したときに頭部を打ちつけることでも起こることがあります。

脳震盪で起こる症状

脳震盪ー4

脳震盪で起こる症状には次のようなものがあります。

症状の3つのレベル

脳震盪の症状は3つのレベルに分けられます。

1.レベル1(軽度)・・・意識の消失はない。一過性の意識混濁がある。記憶は正常であることが多い。

2.レベル2(中程度)・・・意識の消失はない。2分以内の失神。記憶障害がある。頭痛・吐き気が持続する。

3.レベル3(重度)・・・意識の消失がある。2分以上の失神。さまざまな症状が起こる。

レベル2以上の症状があるときは、意識が戻っていたとしても脳が深刻なダメージを負っているかもしれません。すぐに病院を受診することをおススメします。

レベル1〜2で現れる症状

レベル1〜2では、次のような症状が現れます。

  • 一時的な意識の消失
  • 意識の混濁(次第に治っていく)
  • 記憶の喪失
  • 頭痛
  • めまい
  • ふらつき
  • 耳鳴り
  • 耳がよく聞こえない
  • 反応が鈍い
  • 吐き気
  • 手足の震え
  • 集中力がない
  • 物が二重に見える
  • 物がぼやけて見える
  • 焦点が合わない
  • 感情がなくなったような感じ(霧の中にいるような気分)
  • イライラする
  • 光や音に敏感になる
  • 悲しくなる
  • 不安になる

レベル3で現れる症状

  • レベル1〜2で現れる症状
  • けいれん
  • 嘔吐
  • 運動麻痺
  • 激しい頭痛
  • 意識障害が持続する

脳震盪の後遺症

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一般的には、脳震盪は一時的な脳の機能障害なので、自然と症状が回復していき後遺症は残さないと言われます。

しかし、脳震盪のレベルや、脳震盪を起こしたときに適切な対処をしないと、後遺症が起こることもあります。

脳震盪によって起こる後遺症を次にご紹介していきます。

脳震盪後症候群

脳震盪後症候群(のうしんとうごしょうこうぐん)では、めまい、頭痛、健忘症、集中困難、感情が鈍くなる、うつ病、不安感、などの症状が起こります。

セカンドインパクト症候群

脳震盪を起こした後に脳が完全に回復していない状態で、2回目の衝撃や打撃が加わったときに、脳がさらに重いダメージを受けて致命的な損傷を起こすことを、セカンドインパクト症候群と言います。

セカンドインパクト症候群では、頭痛、めまい、吐き気などの症状が長期にわたって継続します。この症状が見られたときは、すぐに病院を受診して、適切な検査と治療を受けることが重要です。

このセカンドインパクト症候群を避けるためにも、脳震盪を起こした際は、頭痛・めまい・吐き気などが完全になくなり、脳が回復するまでの1〜2週間を安静にしておくことが必要とななるのです。

繰り返すと脳震盪が癖になりやすい

脳震盪は、繰り返すと癖になりやすくなる傾向があります。脳震盪を繰り返すと、パーキンソン症候群を引き起こしたり、神経細胞の脱落や脳の萎縮が起こり、永続的な認知機能障害が起きてしまうこともあります。また、最悪の場合、死に至ることさえあります。

脳震盪は何度も発症するとリスクが高まる、と言われています。1回目の脳震盪が軽度でも、2回目になると1回目より加わる負担が大きくなり、少しの衝撃でもリスクが高まります。また、1回目の脳震盪から間を開けずに、短期間で再び脳震盪を起こしたときには、命の危険に直結することもある、とされます。

スポーツなどで脳震盪を起こしたときに、本人が大丈夫だと言っていてもドクターストップがかかることがありますが、これはリスクがどんどん高まっていくためです。セカンドインパクト症候群の説明でも述べたように、脳が完全に回復する前に再び衝撃を与えるのは非常に危険です。

脳震盪の対処法

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では、脳震盪を起こした時の適切な対処法とは、どんなものなのでしょうか。以下にご紹介していきます。

  1. 脳震盪を起こした疑いがあるときは、すぐに練習や試合などを再開させてはいけない。
  2. 体を動かさず、安静にさせ、頭部や頸部を氷・濡れタオルなどで冷やす。
  3. 呼吸や心拍数、体温などに変化がないかをチェックする。異常がある場合は、すぐに救急車を呼ぶこと。
  4. 頭痛、吐き気、めまいなどの症状が出ていないかチェックする。
  5. 意識の混濁・記憶の喪失がないかをチェックする。例として、今自分はどこにいるのか、今日は何月何日か、自分の名前は言えるか、今の時間は分かるか、対戦相手のチーム名は分かるか、などを尋ねます。
  6. バランステストをする。方法は、立った状態で利き足を前にし、利き足のかかとに反対の足のつま先をつけます。そのままの状態で体重を両方の足に均等にかけます。両手を腰に置き、目を閉じて、20秒間その姿勢が保てるかをテストします。バランスを崩したら、目を開けて最初の姿勢に戻り、再度続けます。20秒の間に6回以上バランスを崩すことがあれば、脳震盪を起こしている可能性があります。
  7. 脳震盪の疑いがあるときは、原則として病院を受診させる。検査や医師の診断を受け、適切な治療を行いましょう。
  8. 脳震盪の疑いがある人は、当日中は一人にしないようにしましょう。症状が後から出ることもありますので、当日中は継続して様子を見守ります。
  9. 運転、ゲーム、パソコンなどの使用を禁止する。光や音に敏感になっている可能性もあるので、強い刺激になるようなものを避けて、安静にします。

脳震盪は、すぐに症状が出るとは限りません。後から症状が出た場合には、クモ膜下出血や硬膜下血腫などを引き起こしていて、命の危険を伴うことがあります。頭痛・吐き気などの症状が長く続いたり、症状が強くなってきた、などの場合は、大変危険です。

IRB脳震盪ガイドラインでは、「脳震盪は極めて深刻に取り扱わなくてはならない」とされています。疑いがあるときには、適切な対処をしなくてはなりません。

脳震盪の検査と治療

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脳震盪の疑いがあるときは、脳神経外科を受診します。医師による診察と頭部CTやMRIなどの検査で、脳に機能障害が出ていないかを確認します。

検査の結果、異常所見が見られない場合は、経過観察によって問題なく日常生活に戻ることができます。頭部CTやMRIで脳挫傷(のうざしょう)や血腫(けっしゅ)が見つかった場合には、その治療を行います。

嘔吐や頭痛などの症状がある場合は、安静にしながら、鎮静剤や吐き気を抑える薬などの薬物を使って治療することもあります。

子どもの脳震盪

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赤ちゃんや幼児が脳震盪を起こした可能性があるときには、大人の場合よりも注意する必要があります。

子どもは大人に比べて体が未発達なので、衝撃による脳へのダメージも大きく、その分、症状も強く出る傾向があります。軽度の脳震盪でも頭痛を訴えたり、嘔吐する場合がありますので、注意が必要です。

また、赤ちゃんや子どもは、自分の症状を上手く伝えることができないという理由もあります。大人の場合は本人に症状がないかを尋ねて脳震盪の疑いを確認できますが、子どもの場合は、本人に聞くだけで済まさず、周囲が衝撃を受けた後の様子を注意深く見て、症状が出ていないか、症状に変化はないか、などを確認しなければいけません。

活発でよく走りまわるような子どもは、周囲が知らないうちに頭に衝撃を受けていることもあります。また、スポーツをしている子どもの中には、脳震盪の重大さがよく理解できていなくて、大丈夫だと思ってそのまま試合や練習を続けてしまう子もいます。本人が大丈夫だと言っても、周囲が練習をやめさせたり、試合に出る選手を交替させて、子どもを安静にさせることが大切です。

脳震盪は予防できるか

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脳は、筋肉のように鍛えて衝撃への耐性をつけることはできません。そのため、衝撃を予防することも大切になります。スポーツによっては、ヘルメットやヘッドギアなどの頭を覆う頑丈なもので衝撃を減らすことができます。また、マウスピースも脳震盪の予防に役立つといわれていますので、マウスピースを使うことも一つの方法となるでしょう。

あとは、各自で頭に衝撃を受けないように注意することです。とっさの場合に頭部を守る癖をつけたり、受け身を練習することも効果的でしょう。

まとめ

脳震盪は激しいスポーツ中だけではなく、日常生活の中で頭部に衝撃を受けた時にも起こることがあります。

適切な対処をしないと後遺症を引きおこす恐れもあるので、疑いがあるときには、慎重に対応しなければいけません。基本的には、速やかに医療機関を受診することが望ましいでしょう。すぐには受診できないときや、子どもに脳震盪の疑いがあるときには、本人だけではなく周囲が気をつけて状態を見ていくことが大切です。

脳震盪につながる衝撃を避けたり、正しい対処法を知って、重篤な後遺症を引き起こさないようにしましょう。

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