血管迷走神経反射って?原因や症状、治療方法を紹介!

血管迷走神経反射という言葉を聞いたことがありますか?単刀直入に言えば失神、もしくは目眩のことなのですが、失神・目眩にも種類があり、自律神経に要因が見られるという「血管迷走神経反射」が最も頻度が高いそうです。

採血をした際や、怪我などによって出血が引き起こってしまった場合に発生してしまうシーンが多い症状になります。この迷走神経反射が発生する前には何らかの前兆が起こることもあります。

今回はこの血管迷走神経反射について紹介していきます。症状、予防方法、治療方法と言ったいつもの内容に加え、判別のし難い失神の種類についてもいくつか紹介したいと思います。

ストレスが蓄積してしまっている場合にもよく発生しやすい傾向がありますので、この時期には転倒や急な失神に注意する必要があります。血管迷走神経反射の失神やめまいなどの症状について知って問題に繋がるようにしましょう。

失神にも種類があるの?血管迷走神経反射の特徴とは

神経鞘腫

そもそも失神や目眩とはどのようにして起こるのか、また、血管迷走神経反射はその他の失神と何が違うのか説明していきます。

症状の発生しやすい状況や症状の特徴を知って行きましょう。

失神、目眩の原因は様々でも、メカニズムは同じ

恐らく多くの方が失神、目眩と言えば「中学校や高校で、校長先生が話している時に貧血で倒れてしまう」と言ったシチュエーションを想像するのではないかと思います。

このように貧血が原因で起こることもあれば、重病の可能性や精神的疾患の可能性もあるのが失神、目眩です。ただし、考えられる原因は多々あれど、一時的な脳虚血(脳内に血液が行き渡らなくなること)により意識を失うという点では共通しています。

血管迷走神経反射もめまいも一過性のものの場合は脳への血流が減少してしまうことで発生します。それらの原因が異なることはありますが、基本的にはメカニズムは同じになります。

ご存じの通り、失神しても倒れてしまうだけなので大したこと無い症状だと思う方も多いでしょうが、失神しやすい人が失神の原因を突き止めず、突然死してしまった例もありますし、失神や目眩と言えば脳虚血が原因だったり頭がフラッとすることにより脳の疾患だと思う方も多いため、他の病気に気付けないことだって起こりうるのです。

血管迷走神経反射はどのような原因で起こる?

では、いったいどのような条件下で起こる失神、目眩を血管迷走神経反射と呼ぶのでしょうか。その答えは「長時間立っていることによる血液の下降」「温暖下での激しい運動」「激しい痛み」「空腹」「採血で血を抜いたことによるもの」「外傷による出血時」などで、排泄中などの状況にもよく起こり、この時に立ちくらみやめまい、失神などを伴う場合に血管迷走神経反射であると分類できます。

また、恐怖心や精神的興奮が起こった時にも併発しがちであり、血管迷走神経反射は自律神経の失調による目眩や失神とされています。

では、迷走神経とは何でしょう。人の生活にオンオフを付ける神経を自律神経と言うのですが、まずこの神経は交感神経と副交感神経という二つの神経に分かれます。この二つの神経がどういう神経かと言うと、まず交感神経が血圧や心拍数を上げて運動を促進する神経で、副交感神経がその逆のことをして休息を促進する神経です。

ストレスレベルが高くなると、交感神経も活発になりますが、逆に体を休ませようと副交感神経もバランスを取ろうと活発に働きます。この副交感神経が血管に働きかけることで血圧が下がり脳への血液が不足してしまうことで発生してしまうのが血管迷走神経反射になります。

また、痛みや刺激などが体内に感じられた場合に発生してしまう場合は、その痛みなどを脳内の迷走神経が受け取ります。そこからさらに信号が迷走神経から運動中枢に伝達され、出血で大量の血を失わせないために、血管を拡張し血圧を下げたり、心拍数を抑えて血流を抑えます。この結果脳への血流も少なくなり立ちくらみや失神、意識が遠のくなどの症状が発生します。

血管迷走神経反射の症状や予兆は?

血管迷走神経反射の場合、30秒から数分前にふらつき、虚弱感、発汗、視野がぼける、頭痛、吐き気、顔面蒼白、強い不安などの症状を引き起こします。

意識を失っている最中に痙攣を引き起こす人もいます。1/3程度の人がこの前兆が無く失神してしまいますが、逆に前兆のみで失神しない場合もあるそうです。また、上記の通り迷走神経というのは副交感神経に含まれるため、副交感神経が不調な時に失神の危険性が上昇します。

つまり、失神というのはストレス下で起こりうる症状なのです。ただし、一口にストレス、自律神経の乱れと言っても、日々のストレスの積み重ねによるものというよりは、長時間の立位や空腹、痛みや恐怖と言った、その時々でじわじわと溜まるようなストレス下で起こり得ます。

日常の例で例えると、立位での集会や満員電車での長時間に及ぶ通勤・通学、トイレでお腹に力を入れている時などが最もよくある例でしょう。交感神経が高くなっている状態で起きやすくなりますので注意が必要です。

血管迷走神経反射の予防

基本的に血管迷走神経反射というのは人体の健康を守るための反応になりますし、失神後の回復も早く一過性のものとされており、あまり心配する必要はありません。

ただし、本当に上記のように小さなストレスが続いて失神しただけであれば良いのですが、万が一病気が潜んでいると、考えられる病気の中には死に至る病気もあるので、失神してしまったのであれば必ずお医者さんに相談しましょう。

内蔵の中で出血してしまって、肉体的にストレスが溜まっている状態や出血による血流の不足によっても引き起こります。

また、原因が病気によるものでなかった場合の予防方法ですが、上記の前兆を感じた段階で横になり、脳内の血液量を保つようにしてください。十分な水分(2リットル程度)と塩分の接種も良いでしょう。

その他有効な予防法としては食事を急いで食べない、トイレで力まない、採血などで血が失われているときにはゆっくり動く、ストレスを溜め込まない、睡眠をしっかり摂るなどの予防方法があります。

もし立ちくらみが発生してしまった場合は耐えようとせずに体の力を座ることやしゃがむことに集中させ、転倒時の怪我に繋がらないように注意しましょう。

血管迷走神経反射が発生してしまった場合の対処法

もし周囲の人がこの症状になって失神してしまったり、自分が失神や立ちくらみになってしまった時は安静に安全に横になったり、楽な姿勢で休める空間で症状が治まるのを待つことが重要になります。

出来れば足を少し高くして、脳に血を送りやすくしてあげましょう。また血流が弱くなっていますので温めてあげて、血行を良くしてあげることも有効です。

最も重要な対処法で覚えておきたいことは慌てないことです。基本的にはこの迷走神経反射での失神やたちくらみはしばらく安静にする事で多くの場合は回復していきます。

周囲が慌てて騒いでしまったら余計に患者にはストレスになってしまって休むことが出来ませんので、落ち着いて安心して休める環境を整えてあげることが重要になります。

失神してしまって転倒などをした際は頭や関節などを強く打って怪我をしてしまっていないか、出血は無いかなどを目視で確認しましょう。もし意識が戻っている場合はゆっくり話しかけて、名前や状況が理解できるかなどの簡単な質問で意識レベルを確認し、痛いところは無いか、持病などを持っていないかなどを確認し救急車を呼ぶかなどを判断しましょう。

大事に至らずその後、立てる状態や通常の生活活動が可能になる状態にまで回復した場合は生活習慣の改善で問題に繋がることを回避できます。上記でも説明したことを実行して再発生しないように注意しましょう。

立ちくらみ?起立性低血圧の可能性

前庭神経炎

血管迷走神経反射の症状に似ているもので立った瞬間にクラッとくる症状があります。この症状の仕組みについても知って違いを把握していきましょう。起立性低血圧と呼ばれるもので、この症状により引き起こる問題や症状、改善方法などについて紹介していきます。

この症状も基本的には一過性のものですが対策法や引き起こりやすい状況などを知って問題を回避していくことが必要になるでしょう。

起立性低血圧って何?

これまで説明してきた血管迷走神経反射は「長時間の立位などのため、脳内の血液の量が減ることにより起こる症状」でした。

しかし起立性低血圧の場合は立位ではなく、座ったり横になったりしている状態から立ち上がった瞬間にフラッとくることを言います。一般的に立ちくらみと呼ばれているものですね。

起立性低血圧の症状

寝ている状態や、座っている状態、かがんでいる状態を一定時間保った後にいきなり立ち上がった時に発生しやすい症状で、めまい、ふらつき、バランスの制御不能、眼前暗黒感、視野の収縮、視野のかすみ、動悸、疲れやすい変化を感じる、四肢の脱力などを感じます。

場合によっては失神してしまうこともあります。

発生しやすいタイミングは、食後や運動後などのタイミングに特に増加しやすい傾向があります。これは胃や使用した筋肉などに通常以上に消化や回復のために血を送らなければいけないために、脳に送る血液が足りなくなってしまうことが関係しています。

慢性的に発症している場合に起立性低血圧症といわれ、治療が必要な病気と診断されます。

起立性低血圧の原因は?

では、この原因は何なのでしょう。ヒトは立位になると大体0.5~0.8リットル程度の血液が下半身に移動していきます。すると心拍出量(心臓から排出される血液量)が減少し、大動脈などにある血圧をコントロールする機能も低下します。

しかし通常であればこのことが引き金となって調節神経が働き、血圧を保つことができるのです。交感神経が下半身に血液が集中したことを静脈から帰ってくる血量の少なさから感知し、血圧を高めたり、心拍数を上昇させるのですが、この機能が正常に働かないことで脳への血流が十分に行われずに立ちくらみの症状が発生してしまうメカニズムになります。

なので、こういった機能の低下が見られる高齢者に特に多く見られる症状です。この反射神経が鈍っていることや、急激な変化に対応が遅れてしまうことが原因になります。

詳しくは、立ちくらみを起こす4つの原因!予防や改善方法、病気の可能性も!を読んでおきましょう。

起立性低血圧の治療、改善方法はあるの?

まず、診断方法としては内科で起立時と座位時の血圧差を調べ、3分間で一定の血圧の低下が見られれば起立性低血圧が認められます。

原因そのものの治療法は存在しませんが、自身で症状を軽くするよう対策することはできます。例えば水分を多目にとって、アルコールは控えめにすることや、塩分の不足に注意することなどが有効です。

ただし、血圧の高い方や高齢者は意思の指示にしたがいましょう。他には起き上がる時間を毎日少しずつ長くしたり、女性であればストッキングで締め付けて下半身に血が流れにくくする方法もあります。

治療薬を使用した治療も行われることがあり、血管を拡張し、血圧を下げてしまう問題を対処する薬や、血流を上げる昇圧剤、血液を増加させる薬などが処方されることもあります。

失神しやすい・・・失神の裏に隠れた病気

神経

では次に、その他の失神の症状を伴う病気について紹介します。失神が発生してしまった場合に考えられる病気について知っていきましょう。

一過性の問題の場合には特に検査を受ける必要はありませんが、頻繁に貧血やたちくらみ、失神などの症状が繰り返された場合は以下の病気の可能性を疑って病院での検査を受けるようにしましょう。

失神はただ意識を失うだけではなく、脳に大きなダメージを負わせてしまいますので繰り返しの発生には注意しなくてはいけません。危機感を持って冷静に対処していきましょう。

不整脈

上記以外の原因で考えられる失神の原因に不整脈があります。脈が急に遅くなる(徐脈)こと をアダムスーストークス症候群と呼びますが、脈が遅いために心臓から脳への血液の供給が遅れ、結果的に目眩や失神を起こします。

メカニズムとしては血管迷走神経反射と変わりませんが、原因となる不整脈を探すのに長時間の心電図検査を必要としたり、場合によってはペースメーカーの植え込みが必要になることもあるので馬鹿にできない病気です。

不整脈が起きている原因の多くは心臓の電気信号の異常により発生しています。心臓には微弱な電気が流れていて、この電気が心臓を常に動かしています。この電気信号に異常が発生してしまう原因としては、ストレスによる自律神経の乱れ、睡眠不足、疲労、老化などが影響していると言われています。

また、高血圧、肺の疾患、甲状腺の病気などを抱えている人も病気にかかりやすいと言われています。

詳しくは、不整脈の原因とは?症状や治療方法も合わせて紹介!を参考にしてください。

脳動脈硬化症

脳動脈硬化症とは、脳内で発症した動脈硬化による血流不足が原因で起こる症状で、こちらも高齢者に多いです。こちらも血管迷走神経反射と同様に脳内の血量不足のために失神、目眩と言った症状が見られ、他にも手足の痺れや頭痛、耳鳴りなどの症状も考えられます。

また、脳動脈硬化症の恐ろしい点は失神や目眩では済まずに脳卒中に進行してしまった場合で、脳卒中に至ってしまうと意識障害や言語障害、半身麻痺など更に重い症状が見られるようになる他、脳卒中によって壊死した脳細胞は元に戻ることがなく、最悪の場合は死にも至ります。特に高齢者や糖尿病の患者さんは脳卒中になりやすいので気を付けましょう。

これまでの流れから言えば脳血栓も失神を引き起こしそうですが、脳血栓は頸動脈の領域内での発症がほとんどなので、それが原因で失神することは極めて稀になります。

まとめ

ただの立ちくらみだと思って軽い目眩を放置している方は多いかもしれません。頻発しているのが目眩ではなく失神であれば自分の身を案じる方も増えるかもしれませんが、今回の記事を読んだことで

  • 失神や目眩は脳内の血量不足で起こっている
  • 脳内の血量不足は恐ろしい病気が原因の可能性もある

ということを分かっていただけたかと思います。思春期頃から頻発する症状なので侮りがちですが、ある程度年齢が行っても頻発するようであれば、一度お医者さんに相談してみるのもいいかもしれませんね。

自律神経が乱れた状態が続いているのであれば、精神科や心療内科、注射や採血で問題が発生してしまった場合や低血圧から来る問題や原因不明の場合は内科や診療科などで精密な検査をしてもいいでしょう。

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