目の下の腫れの原因は?痛みやかゆみの症状はどの病気?

目の腫れについては感染するとか放置すれば治るだとか最悪の場合芽が見えなくなるだとか様々な俗説もありますが、症状によって異なります。

確かに清潔にしていれば自然に治る腫れもありますが、帯状疱疹という病気の場合、失明の恐れがあります。こちらはワクチンを打つことで予防が可能です。免疫力が下がるとウイルスが再発しやすくなります。

過労に注意し、症状を確認し、目の腫れを予防しましょう。

ものもらい

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ものもらいは、霰粒腫、化膿性霰粒腫、麦粒腫、と症状によって区別されます。ものもらいという名前から「うつる」イメージがありますが、うつらないので安心してください。うつらないようにと眼帯を付けても治りが遅くなるだけです。

ものもらい の症状

上下のまつ毛の生え際にある分泌腺「マイボーム腺」に脂肪が詰まって発症します。

・霰粒腫→マイボーム腺に脂がたまっている状態です。炎症がないなら暖めてOKです。自然に治ることがほとんどですが、固まってしまうと治りが遅くなる場合もあります。見た目や神経や視野の圧迫が酷い場合手術で取ることができます。

・化膿性霰粒腫→マイボーム腺にたまった脂が感染を伴っている状態です。

・麦粒腫→菌が感染して膿がたまっている状態です。化膿性霰粒腫との違いは、見かけでは炎症の強さと、リンパの腫れです。炎症があるので暖めてはいけません。冷やしたほうが良いです。

瞼の内側にも外側にも発生します。内側にできると痛いです。原因については、ものもらいの原因とは?ストレスや疲れとの関係についてを参考にしてください。

ものもらいの治療

病状によって異なりますが、自然治癒することがほとんどです。仕事で時間がない方は市販の目薬で対処可能です。

とはいえ他の病気の可能性もあるので病院にいくことには意義があります。

医師による治療でも点眼薬だけで様子見ることもあります。眼軟膏や、抗生物質や抗炎症の内服薬を併用する場合とがあります。また、痛みや腫れが引いても「しこり」が残っている場合は、手術するかケロイドなどの治療に効果がある点眼薬や内服薬を使用します。

また、漢方薬でも効果のある薬がありますので、併用する場合もあります。ケナコルトの注射を行う医院もありますが、難しいのでどこでも行っているわけではないようです。

ものもらいになったときの自己管理

皮膚の回復を遅らせる寝不足を控えバランスの良い食事をとってビタミンCを摂取しましょう。炎症が起こっている場合は、辛いものなど刺激物やアルコールは炎症を助長しますので控えたほうが良いです。

目を清潔に保つために目をこすったりせず、眼帯もしないほうが良いです。コンタクトレンズも医師に使用を止められると思います。目が膨らんで気になると思いますが、化粧もなるべく避けたほうが良いです。詳しくは、ものもらいの時コンタクトはつけていい?対処方法について!を読んでおきましょう。

結膜炎・角膜炎

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ウイルスやアレルギーによって起こる目の病気です。症状は違いますが、それぞれ治療や予防法が異なります。

ここでは、流行性角結膜炎、クラミジア性結膜炎、ヘルペス性結膜炎、アレルギー性結膜炎をご紹介します。

流行性角結膜炎とは

アデノウイルス性の結膜炎です。人から人へ感染する感染症ですので、感染者がいるときは目をこすったりしないように、自分が感染した場合はアルコール消毒に努め、自分の使ったタオルやハンカチを他人に使わせないようにしましょう。

流行性角結膜炎の症状

流行性角結膜炎は急に発症し、瞼が腫れ、涙が出てきます。目がゴロゴロする他、大量の目ヤニが出てきます。目が真っ赤に充血し、感耳前リンパ節が腫れ、痛みを感じる場合がある風邪と同様に咳がや熱が出る場合もあります。感染力が強く、両目に症状がでる場合があります。

流行性角結膜炎は軽症の場合はそのまま治りますが、重症の場合、角膜炎を起こすことがあります。角膜(黒目の表面の皮)が侵された場合、ものすごい痛みが出ます。

後遺症としては角膜白斑を起こす場合があります。角膜が濁濁る病気です。点眼で後遺症を残す確率を下げることができますが、ウイルスが強い場合は入念に点眼をしても防ぎきれない場合があります。この場合視野が阻害され、視力が低下します。角膜移植で治療可能です。

流行性角結膜炎の治療

アデノウイルス全般について有効な薬剤はありません。ウイルスは自己免疫によって治癒するのを待ちますが点眼をします。点眼で治療できるわけではありませんが、後遺症をなるべく残さず治すためにも、抗生剤の点眼や炎症を抑えるための弱いステロイド点眼をします。適切な処置をしても運が悪いと角膜白斑が残る場合があります。

ステロイド点眼は眼圧が上がる場合があるため、症状が弱い場合か、眼圧が上がりやすい子どもの場合は抗生剤のみを処方される場合もあります。

重症の場合に後遺症になる角膜白斑は、角膜移植を行うことでもともとの視力を取り戻すことができます。移植を行わなくても、数年すると白濁が自然治癒する場合があります。

流行性角結膜炎の予防

流行性角結膜炎は手についたウイルスが目に入ることで人から人へ感染します。感染者が触った手すりやドアノブを触った手で目をこするだけで感染する可能性があります。感染者がいた場合、目をこすらないように注意が必要です。ウイルスが付着したタオルやハンカチでも感染します。

外から帰ってきたら手を洗いましょう。またウイルスはアルコールで無毒化できます。最近はアルコール消毒薬が数多く市販されていますので使って予防するのもよいでしょう。

クラミジア結膜炎(封入体結膜炎)とは

梅毒など性病で有名なクラミジアですが、目に症状がでる場合があります。同じクラミジアによる結膜炎では、トラコーマがありますが、衛生管理のよい日本ではほとんど見られません。

クラミジア結膜炎(封入体結膜炎)の症状

流行性角結膜炎に症状が似ています。瞼が腫れ、涙が出て、目が充血し、感耳前リンパ節が腫れ、角膜白斑のリスクがあります。性感染が原因の場合、排尿時の痛み、性器からの膿、尿道炎や卵管炎、子宮内膜炎を起こします。

クラミジア結膜炎(封入体結膜炎)の治療

流行性角結膜炎同様、抗生剤の点眼をします眼軟膏という目の中と周りに塗る難航も処方されます。症状が酷い場合、飲み薬の抗生剤も処方されます。

クラミジア結膜炎(封入体結膜炎)の予防

大人の場合は性交渉による感染がほとんどで、子どもの場合は母体が感染している新生児に見られます。衛生管理が非常に悪い場合はトラコーマのように主に免疫力の低い3歳~6歳の子供が感染する可能性はなくもありません。

ヘルペス性結膜炎とは

流行性角結膜炎に症状が似ていますが、目の周りの水膨れが見られます。瞼が腫れ、涙が出て、目が充血し、感耳前リンパ節が腫れ、角膜白斑のリスクがあります。ヘルペス性結膜炎は目の片側のみに発症することが大半です。

ヘルペス性結膜炎の治療

抗ヘルペスウイルス作用のある薬品があります。眼軟膏、あるいは飲み薬を処方されます。

ヘルペス性結膜炎の予防

残念ながらワクチンは存在しません。このウイルスは接触感染を起こします。初めて感染したタイミングで発症する初感染型と、大人になって再発する再発型があります。普通は子供のうちに感染して大人になってから免疫力が低下して、再発する場合があります。

再発する可能性があり、免疫力が下がるとウイルスが再発しやすくなります。過労、ストレス、睡眠不足に注意しましょう。

アレルギー性結膜炎とは

流行性角結膜炎とは違い、ウイルスではなく花粉やハウスダストなどのアレルギーによって起こります。アレルギーなので他のウイルス性結膜炎と異なり、感染しません。

アレルギー性結膜炎の症状

花粉やダニ、動物の毛などのアレルゲンによって起こる炎症です。目が非常にかゆくなり、結膜が赤くなります。人によってはまぶたも赤くなって裏にぶつぶつしたものができたり腫れたりすることもあります。

花粉などが原因で季節によって生じるものを季節性アレルギー性結膜炎と呼び、ハウスダストなどの影響で一年中症状がみられるものは通年性アレルギー性結膜炎と呼びます。重症例では角膜に傷がつき、混濁しますし、上瞼にも炎症がでてきます。

アレルギー性結膜炎の治療

抗アレルギー薬だけで症状が緩和する場合もあります。しかし、抗アレルギー薬のみでは効果が弱い場合は、軽いステロイドの点眼を併用で処方する場合があります。ステロイドは緑内障のリスクとなる眼圧が上がる場合があるため、継続して使用する人は眼圧を測る必要があります。

眼圧が高い状態だと緑内障のリスクが高くなりますが、点眼薬を中止すれば眼圧は通常の状態に戻りますので、大人の場合は神経質に心配することはありません。子どもの場合は眼圧が上がりやすく診察もし辛いため注意が必要になります。

アレルギー性結膜炎になったときの自己管理

ゴーグルをつけてアレルギー物質をシャットダウンする手があります。ゴーグルといっても水泳用に見えるようなのいかついものだけではなく、最近はオシャレなものが販売されています。JINSの花粉対策用メガネなんかはパッと見普通のメガネに見えます。おすすめです。

アレルギーはいつ発症するかわかりません。数年前パッチテストでアレルギーなしといわれても、翌年アレルギーを発症してもおかしくないのです。アレルギー性結膜炎になっていない人の予防にもなります。

目を洗う市販薬を使ってアレルゲンを落としても気持ちがよいです。ただし目を保護する成分や養分も一緒に流してしまうのではないかという人もいます。とはいえ問題が見られたという報告もないので、適度に利用するのは悪いことではありません。

帯状疱疹(失明の恐れあり)

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水ぼうそうで有名なウイルス「水痘」によっておこる皮膚病です。前述した結膜炎も起こしますが、目以外にも発疹に広がり、必ず左右どちらかだけに起こるという特徴があります。

帯状疱疹と多くの人が子どもの時にかかる水ぼうそうと違うところは、神経節に潜んでいるウイルスが過労やストレスなどで免疫力が低下して再活性化し、神経が走っている経路をたどって皮膚に症状を起こす、という点です。

普通、帯状疱疹は脊髄の近くの胸や腹に発疹が現れますが、顔の三叉神経節からウイルスがでた場合、皮膚症状は左右どちらかの頭、額、まぶた、鼻に出て特徴的な発疹がでます。顔に帯状疱疹が出ると失明の恐れがあります。忙しくてもすぐに病院にいきましょう。

免疫は一度かかれば大丈夫と言われていますが、実際は20年くらいで免疫力が低下し始めるようです。ワクチンで10年ほどは予防できます。

帯状疱疹の症状

最初は痛みや違和感だけのことが多く、皮膚に典型的な症状が出ないので診断しにくい病気です。数日すると赤い斑点が出て、それが盛り上がって水ぶくれになり、破れ、かさぶたになり、強い痛みを感じる、という典型的な水ぼうそうらしい症状がでます。後遺症として神経痛を残します。

皮膚症状は頭、額、まぶた、鼻に出ます。必ず左右どちらかだけで発生して、反対側まで広がることはありません。目にも眼瞼炎、角膜炎、結膜炎、ぶどう膜炎、緑内障などを起こし、失明する恐れがあります。

皮膚症状が出て72時間以内に治療を開始すれば、後遺症が出にくいと言われています。治療に緊急を要する病気です。疑いがあれば忙しくても即病院にいきましょう。

帯状疱疹の治療

抗ヘルペスウイルス薬の全身投与が治療の中心になります。バルトレックス、ファムビル、アシクロビルなどを7日間内服します。点滴することもあります。(どれも高価な薬です。健康保険では7日間までと決められていてそれ以上長くは処方できないようです。)

眼科では副作用のある全身投与を管理しきれない場合があり、皮膚科か内科に紹介状を渡されることもあります。

目にはゾビラックス(アシクロビル)眼軟膏を1日5回を、2週間程使用します。目のまわりの皮膚と、目の中に塗ります。目の中に塗るのは少し難しいので、できれば誰かに塗ってもらったほうが楽にできます。目より遠い場所はアラセナA軟膏などを処方されます。

他に症状によっては、混合感染予防の抗菌剤、酷い炎症を抑えるステロイド、癒着を防ぐ散瞳剤、眼圧を下げる目薬などを処方されます。詳しくは、帯状疱疹はうつるの?治療するには薬が効果的?を参考にしてください。

帯状疱疹の予防

一度ワクチンを打ったり病気にかかって治ったら抗体ができるので一生かからない、と言われますが、実際は20年くらいで免疫は低下し始めてしまうようです。

抗体の強さに個人差はありますが、40~50年たつと対抗する力がなくなるケースがあります。帯状疱疹は50代のに多い病気です。子どものころに水ぼうそうにかかったから大丈夫、というわけではありません。

水痘ワクチンで抗体の強さを回復できます。有効な期間は約10年と言われています。

ワクチンの相場は約1万円くらいのようです。健康保険がきかないので少し高めに感じられるかもしれませんが、後遺症の残る厄介な病気です。

50歳になったら水痘ワクチンを打つことをおすすめします。

日本では健康保険がききませんが、米国ではFDAが認可し、50歳以上に接種して成果を出しています。臨床試験では発症率はほぼ半分になり、発症しても軽度の症状であり、後遺症を残す恐れが3分の1程に減ったと報告されています。

クインケ浮腫

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原因がよくわかっていません。数時間で戻ることがほとんどです。注意すべきなのは遺伝性血管性浮腫(HAE)ですが、非常に珍しい病気です。

クインケ浮腫とは

眼や口の周りに突然おこるむくみです。殆どがすぐに収まります。

全ての症状の原因を特定できないことが多いですが、判明しているものもあります。わかっている原因の中では、食べ物や薬品で起こるアレルギー性の血管性浮腫や、温熱、寒冷、振動、外傷、感情的ストレス、日光などの物理的刺激による血管性浮腫か、ACE阻害薬内服患者の0.1~0.5%に起きるアンジオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫と、 遺伝性血管性浮腫(HAE)です。

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、遺伝病が原因とされている血管性浮腫です。この遺伝子変異による疾患は、体の様々な場所に「腫れ」が起こる珍しい病気です。

瞼の下だけではなく、くちびる、舌など、のど、手、足、腕、脚および腹部に腫れが起こります。HAE(遺伝性血管性浮腫)による腫れは、頻度が様々で1週間に一度の頻度で出る人もあれば1年単位のスパンで出てくる人もいます。腫れる場所も常に同じとは限りません。のどが腫れると気道がふさがれてしまうため、命に関わることもあります。

副鼻腔炎

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ちょうど目の下に副鼻腔という顔の中の空洞があります。これが炎症を起こすと 目の下に腫れやクマが現れることがあります。ウィルスや細菌・真菌による感染が大半であり、 他にも花粉やハウスダストなどのアレルギーも、副鼻腔炎の原因になります。

虫歯が感染症になる、歯性上顎洞炎も存在します。その場合は歯も痛みます。

副鼻腔炎の症状

鼻の横、目の下の空洞にかけて膿が溜まるようになり、症状として、目の下の部分の圧迫感や痛み、赤い腫れなども挙げられます。

虫歯が原因となることもあり、この場合とても痛いです。この服鼻炎を特別に歯性上顎洞炎と呼びます。歯周病を放置して病状が進行して副鼻腔にまで虫歯菌が侵食して起こります。頬が腫れると同時に上の歯茎の外側が赤く膨らんだり、押すと痛みがでます。

膿が上顎洞にたくさん溜まると、まるで心臓の動きに合わせたかのように、ズキッ、ズキッと痛む場合があります。

副鼻腔炎の治療

鼻づまりですので、症状に合わせて耳鼻科で治療します。抗生剤やステロイドを投与するだけで治ることもあります。

歯性上顎洞炎の場合も抗生剤を投与するだけで治ることもありますが、歯の根などが空洞に落ちてしまったとき、悪化して膿が止まらないときは上顎洞炎根治術を行います。最後の手段として口の中から空洞に向けて骨に穴をあけて膿や歯根を取り除きます。

美容整形の失敗

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フランスでは男性に涙袋があるとセクシーに見えるといわれ、日本でも若い女性を中心に「あったほうがかわいい」という人もおり、美容整形による涙袋をつくる人が少なくありません。

涙袋の成型後になかなか腫れが引かず痛みも出てきた、という場合は炎症を起こしているかもしれません。我慢せずに医師に相談しましょう。

また美容整形はアフターケアがしっかりしているところで受けましょう。

まとめ

目の下や下瞼の腫れの原因にはマイボーム腺が詰まる感染症の恐れがない ものもらい、感染症の恐れのあるウイルスが要因の角膜炎 流行性角結膜炎、クラミジア結膜炎(封入体結膜炎)、ヘルペス性結膜炎、上記の角膜炎に症状の似たアレルギー性結膜炎、 水痘ウイルスが原因の帯状疱疹の結膜炎、原因不明の疾患 クインケ浮腫 副鼻腔炎による副鼻腔の炎症、美容整形の失敗などがあげられます。

特に帯状疱疹はワクチンさえ打てば予防できる重病ですので子どものころ水ぼうそうにかかった方も50歳になったらぜひ水痘ワクチンを打ちましょう。

目の下の腫れのうち重症のものは最悪の場合失明を起こします。症状を確認して眼科や皮膚科で診察を受けましょう。

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