高山病の症状とは?予防法や対処方法を知ろう!山を登る時の心得を紹介!

皆さん高山病をご存知ですか?昔は登山家だけの病気かと思っていましたが、現在は旅行客にとっても、高山病を心配しないといけない時代になりました。

ロッキー山脈、ヒマラヤ山脈、アンデス山脈、エチオピア高原、メキシコ高原、チベット高原とあり、また日本の富士山も、高山病を心配しないといけない一つの山です。国で高山病を心配しないといけない国は、サンタフェ(アメリカ合衆国ニューメキシコ州標高2130m)メキシコシティ(メキシコ合衆国標高2324m)キト(エクアドル標高2812m)ラサ(チベット自自区標高3650m)ラパス(ボリビア標高4071m)などいずれも、2000m以上の国々です。

いかれた方もおられるのではないでしょうか?このような国々に旅行するときに気を付けないといけないのが高山病です。そのためにも高山病についての知識があれば、対処が違ってきますので、皆さんと一緒に見ていきたいと思います。

高山病とは?

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高山病が起こるときはどの様な時があるのでしょうか?

高山病になるには

高山病になるには空気が地上よりも薄いため、酸素欠乏の状態になり、酸素が欠乏してくると身体の不調が出てきます。高度が上昇するにともなって、大気圧は下がります。大気圧が下がると空気が薄くなり、利用できる酸素が少なくなってきます。

海抜0m地帯の空気を比較してみますと、標高5800mでの空気の酸素の量は、半分になります。富士山の頂上で酸素の量は、平地の2/3となり、身体の中の酸素の量は1/2となります。

高山病になると二日酔いに似た症状がでて、頭痛や顔や手足のむくみ、眠気やあくび等の睡眠障害や、運動失調などの症状が出てきます。高山病を高度障害と呼ぶこともあります。

しかしこの症状は1日か数日で、自然消滅することが多いですが、中には重症になって高地脳浮腫や高地肺水腫になって死に至ることもあります。

高いところに登ったら誰でも高山病になる?

さて高いところに登ると誰でも、高山病になるのでしょうか?そうではありません。2500mのところに登ると20%、3000mのところに登ると40%の人に何らかの高山病の症状が出ます。ということは2500mで80%、3000mで60%のひとは出ないことになります。

日本人は数%の人が低酸素に対応できない、高いところに順応できない体質の人がいます。これは遺伝的要因もあるようです。

急に2500mのところに登ると、25%に高山病の症状がでて、3500ではほとんどの人が、危険な領域に達するとのことです。そのうち10%が重症化します。

高山病になりやすい人はどんな人?

では高山病になりやすい人とは、どのような人でしょうか?

  • 年少児や若年成人、高齢者は低酸素状態になりやすく、高山病になりやすいです。
  • 疾患を持った人、風邪をひいている人、疲労している人等体調がいまいち思わしくない人
  • 急に高度をあげてヘリコプターに乗った場合。
  • 標高6000m以上では滞在するほど、身体の力は抜けて体力が衰弱していきます。
  • 鉄分の不足している人。
  • 急激に高度を上げたり、過度の運動を行うとなりやすいです。
  • 高山病に以前掛かった人や、900m以下で生活している人がなりやすいです。

高山病になりやすいか否かは、酸素の摂取量が影響してきます。酸素の摂取能力量が高ければ、少ない空気の中でも酸素を効率よく、取り込むことが出来ます。そのためにも腹式呼吸が必要です。

酸素摂取能力の個人差は、可成りあります。これは若い年寄りにかかわらず、一人一人の個人によって違いが出ています。その個人差には心肺機能のほかに、血液の中のヘモグロビンの量が大きくかかわっています。ヘモグロビンが少ないと貧血になり、酸素を毛細血管の身体の隅々まで運ぶことが困難となります。そのため鉄分不足で、ヘモグロビンが少なくなっていると、高山病になりやすくなります。

高山病になると身体のどの臓器が不調になるの?

さて高山病になると、私たちの身体のどの臓器が、不調になるのでしょうか?一番私たちの身体でダメージを受けるのが、脳と肺です。生命にかかわるところです。

脳がダメージを受けると、急性高山病や高所脳浮腫になり、肺がダメージを受けると、高所肺浮腫になって、肺の中の、毛細血管の圧力が上昇します。圧力が上昇すると、毛細血管から液体が漏れ出します。

高山に登ったら人間は順応しない?

さて人間には環境に順応する力があるはずですが、高いところに登っても人間は順応しないのでしょうか?

人間は環境に順応します。呼吸数や心拍数を増やして、赤血球の生成を増やして、組織に酸素を多く供給して、高地に順応する力は持っています。

標高3000mなら大部分の人は、数日で順応する事が出来るようになります。標高5300mを超える高地でも、通常の生活ができる人もいるのですが、これ以上になると順応する力には無理があります。

高山病の原因

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高山病の原因は何なのでしょうか?

さて高山病の原因は何が原因なのでしょう。先にも書きましたが、酸素の不足によるものです。低酸素と低気圧によって低酸素になり、身体が急性反応を起こすのです。気圧が低下することで、大気中に含まれる酸素の圧力の、酸素分圧が低下することで、低酸素症をおこすのです。

労働作業の程度や、乾燥の程度、紫外線や寒冷等が伴い酸素不足が重なり、高山病を発症します。

高山病の症状

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さてでは高山病にはどの様な症状があるのでしょうか?

軽度から中度の症状

高山病になると必ず起こるのが頭痛です。これはなぜかといいますと、脳は身体の中で、一番酸素を必要とする臓器なのです。ですから低酸素には弱く、必ず頭痛をともないます。

2500m以上の高さに登って6時間から数日以内に、頭痛、めまい、食欲不振などの症状が出てきます。そして疲労感や脱力感や呼吸困難等の症状を示し、めまいやふらつき、イライラ感等の症状が出ることがあります。また吐き気、嘔吐、眠気や睡眠障害、低酸素環境症候群などの症状が出ることもあります。

重度の症状

更に危険な状態になったときは、鎮痛剤では収まらない頭痛やおう吐、運動失調や無気力、仮眠傾向の眠った状態になり、感情の隠蔽(かんじょうのいんぺい)が起こったり無頓着になったり、息切れて錯乱状態になることもあります。

標高2700m以上に登ると、網膜出血が起こります。目の後ろにある網膜の、小領域が出血してきます。標高5000m以上になるとその症状が、多くみられるようになります。出血が中心視力を担う部分(黄斑部)に、発生しない限りは症状は出ませんが、網膜の中央で出血が起きると、小さな盲点がある場合に、気が付くことがあります。しかしこの網膜出血は急速に消失します。

高山病になってしまった時の対処は?

さて高山病になってしまったら、どのような対処をすればよいのでしょうか?

軽度なら安静にして休むのが一番よいです。しかしすぐに横にならずに、周辺を散策するなどして、身体を動かした方が、酸素を取り入れやすいので、周りをぼちぼち歩いて、血液の流れをよくしてから休むと良いです。すぐに休むと呼吸が浅くなり、酸素を身体に取り入れることが充分に行われなくなります。

また休む時は身体が冷えない様にして、暖かくして休むことが大切です。身体が冷えると血液の流れが悪くなり、低酸素状態に陥りやすくなります。また脱水は高山病を悪化させますので、水分は充分に取り入れることが大切です。

高山病の病気の種類

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高山病にはどの様な症状の病気があるのでしょうか?

急性高山病

急性高山病は軽症型の高山病です。2000mから発症して、高度を上げてから6~10時間以内に症状が現れます。頭痛のほかに、ふらつき感や食欲減退、吐き気おう吐等の症状が起こります。また疲労や脱力感、怒りっぽくなったり睡眠障害なども起こります。

二日酔いに似た症状で24~48時間ほど症状が続きます。時には重症化することもありますので注意は必要です。

高所肺水腫

高所肺水腫とはどのような症状の、病気になるのでしょうか?高山病の死亡の殆どが、この高所肺水腫なのです。2500m以上の高さに急に登った時など、24~96時間後に発症します。

症状は夜に悪化します。すぐに重症化する場合もあります。軽い症状では軽い咳や軽い動作後の、息切れなどが起こります。また中程度になると、淡いピンク色になる血が混ざったり、安静時の息切れや、錯乱状態になることがあります。また微熱が出て皮膚や爪・舌が青くなるチアノーゼの症状が出てきます。重度になると喘ぎ苦しみ、呼吸時ゴボゴボの音が聞こえるようになってきます。

呼吸器感染症は軽症でも、高山病のときはリスクに、なることがありますので、注意してください。呼吸器系、心血管系の既往性を持つ人や、過去に高山病になった事のある人や、偏頭痛の既往性を持つ人は、2500mの高地で1日の内に、移動すると発症しやすいので、スケジュールを余裕をもって、立てることが大切です。人によっては2000mでも発症する人もいます。

高所肺水腫になったら、できるだけ早く標高の低いところに、戻ることが大切です。可能であれば酸素吸入や、デキサメタゾンを、投与することが必要となります。

また高度を下げることが不可能で、重篤な状態になっている場合は、時間を稼ぐために、高圧バックを使用することもあります。高圧バックは軽量でなおかつ布製のバックなので、大きくして人一人入れる大きさにし、手動でポンプが備えられているので、患者を中に入れて、口をきちんとふさいでポンプを使って、テントの内部に空気を入れて空気圧を上げます。

空気圧を上げることで、高度が下がった状態を作り上げることが出来るので、この中で患者は2~3時間過ごすとことで高度が下がった事と同じ状態になります。高圧バッグは酸素吸入と同様に有益な道具だと思います。ただし登山のときに使用できないこともあるので、高度を下げる代替えとして考えることはできません。

高所脳浮腫

高所脳浮腫とはどのような、症状なのでしょうか?稀ですが致命的になりうる症状で、高所脳浮腫を発症すると、頭痛や錯乱や歩行時の、フラフラなどの身体の不調の、運動失調が見られます。

そして昏睡状態に陥って軽い症状から、命にかかわる状態まで、数時間以内で急速に進行してしまいます。

高山病の治療

高血圧 症状

高山病になってしまったらどのような治療をすればよいのでしょうか?

高山病になってしまったら、まず低地への動が必要となります。パルスオキシメーターで酸素不足を感じたら、根本的な治療としては、低地に移動することが大切です。重症な場合は直ちに集中治療が必要となります。

高山病の症状の進行によって移動が困難な時は、ガモウバッグと呼ばれる携帯式の高圧バックがあります。可搬式加圧カプセルに患者を入れて、カプセル内の気圧を上げる事で、疑似的に標高を下げる方法もあります。

急性高山病を起こした人は、高度を下げることが大切で、それ以上高い高度に登ってはいけません。団体行動をしているときは、急性高山病は1~2日で治りますので、みんなが下山してくるまで、その地点で休んでいることが、必要となります。高山病になったら、まず高度を下げることが大事です。

また症状が重くてフェースマスクで酸素供給したり、酸素の吸入が出来ない場合など、治療しても改善が望めない場合は、標高760mまで高度を下げることが大切です。

高山病になった時の薬物

それでは高山病になった時の薬は、どの様なものを使ったらよいのでしょうか?

症状を緩和するには、アセタゾラミドが有効です。頭痛の緩和にはアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎薬が良いでしょう。

症状が軽度だとダイアモックスを服用し、その他に頭痛や、吐き気おう吐に合わせて薬を飲むと良いです。

中程度だとできるだけ下山するようにして、酸素投与+ダイアモックス錠やデカドロン錠の薬を服用して安静にすると良いでしょう。

重度だと緊急を要して下山することが必要です。高所脳浮腫や高所肺水腫になれば緊急を要し、緊急要請中は携帯型加圧バックを使用して、酸素吸入をして高度を下げた状態で待機します。

最も怖いのが肺水腫による呼吸不全です。肺水腫による呼吸不全の場合、アセタゾラミド(ダイアモックス)の服用は、利尿作用があるので、肺水腫を軽減する働きがあります。またニフェジピンやプレドニゾロンの投与など、良いといわれますが、根拠に基ずく物はありません。

脳浮腫の頭痛に対しては、非ステロイド性抗炎薬が有効です。この薬剤は喘息の人や胃潰瘍の人また小児などには注意がひつようです。

また脱水症状になる場合の血栓を防ぐために、低用量のアセチルサリチン酸(アスピリン)を予防的に服用しておくのも良いそうです。

高山病のリスクを下げるには、高度を上げ始めた時に、アセタゾラミドを用いるとリスクが下がります。アセタゾラミドは症状を軽減します。登り始めて数日服用を継続すると良いです。

高山病の予防

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高山病を予防するにはどの様な方法があるのでしょうか?

高いところに登るときの心得

高いところに登るときの心得

  • 酸素の量の取り込みを多くして、逆に消費量を少なくすることです。
  • ゆっくりしたマイペースで登ることが大切で、高山病の最善はゆったりとした、気分で登ることです。
  • グループで登る場合は一番ペースの、ゆっくりした人に合わせることが肝心です。高山病の症状が現れたら、登るペースを落とすことが必要です。
  • 小型のパルスオキシメーターは、血液中の酸素飽和度を測定し、比較的簡単に測れますので、これを使用することで、酸欠になる前の予防になるため携帯することです。
  • 2400m以上の高地に移動したときは、すぐに休憩をとらないで30分~1時間ぐらい周りを散策して環境に適応することが大切です。
  • 水分を充分に摂ることです。体重50kgの人で250mlが目安ですが、高地ではより多く摂ることが大切です。
  • もしもの時のガモウバッグを持参する

高いところに登るときの行動

最初の夜は標高2500m~3000mより、高いところでの睡眠を避ける必要があります。登山者の場合高い高度で睡眠をとる前に、その標高2500m~3000mの間で2~3日すごしてから睡眠をとる高度を300mずつ上げることが良いです。睡眠時に低いところに移動できるなら、日中はそれより高い高度に登ってもよいです。

まず高いところに到着したら、1~2日は激しい運動は避けて、食事の回数を増やします。炭水化物を多く含む食事を少しずつ摂ることが良いです。またカフェインを含まない水分を多く摂ることや、アルコールや鎮静剤は高山病に症状が似ているので避けてください。

高山病にならないための予防

高山病にならないために日ごろから、気を付けることはどの様な事があるでしょうか?

日頃からジョギングなどの有酸素トレーニングを行って、最大の酸素を摂取する方法を高めておきます。

また富士山を利用して、高度に順応しておくことも大切です。身体はそのことで高所を記録することが出来ます。

その他にマイペースで登ること、身体を締め付けない、鉄分を多く摂取しておく、腹式呼吸をとりいれて、寝不足のままでは高地に行かない、天気の悪い日は高山病になりやすいので、避けることが大事等が予防策として考えられます。

まとめ

如何でしたでしょうか?高山病の知識を少しでも、広げて頂けましたでしょうか?登山するときはもちろんですが、旅行などで高地に行くときは、特に気を付けてほしいと思います。

  
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